会社内の職場いじめや嫌がらせは退職すべきか。解決方法も紹介

会社内の職場いじめや嫌がらせは退職すべきか。解決方法も紹介

職場でいじめや嫌がらせを受けていると、心身の限界が近づいても「本当に辞めていいのか」「我慢すべきなのか」と判断が揺らぐものです。実際には、放置すれば深刻なメンタル不調やキャリアの損失につながるケースも多く、退職を含めた選択を早めに検討すべき状況があります。本記事では、厚労省の基準や労働実務に基づき、退職すべきラインと続けるべきでない理由、そして安全に抜け出すための具体策を解説します。

弊所「弁護士法人みやび」は、全国で退職代行サービスを提供している老舗の法律事務所です。職場いじめで退職を希望している人の中で、「会社を辞めたいけど、上司に言い出せない」、「パワハラを受けていて、辞めたくとも辞められない」という人は、ぜひ一度ご相談ください。

目次

職場いじめを受けたら退職すべきか|結論と判断基準

職場いじめを受けたら退職すべきか|結論と判断基準

まず押さえるべきなのは「どの状態なら退職を決断すべきか」という判断基準です。職場いじめは我慢しても改善しにくく、長期的に健康とキャリアの両方を損なうリスクが高いことが特徴です。ここでは、厚労省が定義するパワハラ類型を踏まえて、退職を検討すべき明確なラインを示します。

退職すべき明確な基準(身体的攻撃・精神的攻撃・無視・孤立)

身体的攻撃(物を投げる、叩くなど)、精神的攻撃(人格否定、威圧的な叱責)、組織的な無視や孤立といった行為が継続している場合は、退職を検討すべき深刻な段階です。これらは厚労省が定めるパワハラの典型類型であり、改善を会社に求めても解決しないケースが多く、被害者が一方的に消耗するだけになりがちです。

辞めないで我慢することの危険性(健康被害・キャリア毀損)

いじめを我慢し続けると、不眠、食欲低下、抑うつなどの健康被害が進行する恐れがあります。また、パワハラ環境では実力を発揮することが難しく、評価が下がってキャリアに悪影響が出ることも珍しくありません。心身が限界を迎えてからでは判断力が低下するため、早めの対応が必要です。

職場いじめの具体例|厚労省6類型と実例

職場いじめの具体例|厚労省6類型と実例

職場いじめは「気のせい」「指導の範囲」と片付けられがちですが、厚生労働省は明確に6つの類型として整理しています。自分の状況がどれに該当するのかを知ることで、被害の深刻度や対応の優先順位を判断しやすくなります。ここでは冗長にならないよう、6類型を実務的にまとめて解説します。

身体的攻撃/精神的攻撃の典型パターン

身体的攻撃は、物を投げつける、机を叩く、威嚇するなどの直接的な圧力が特徴です。精神的攻撃は、人格否定の発言、必要以上の叱責、長時間にわたる説教などが該当します。これらは短期間でも心身への負荷が大きく、改善を会社に求めても解決しないケースが多いため、退職検討ラインに直結する深刻な類型です。

人間関係の切り離し/過大・過小要求

職場で意図的に無視される、会議や情報共有から外される、追い出し部屋に配置されるといった行為は「人間関係の切り離し」にあたります。また、能力に見合わない業務量を押し付ける過大要求、逆に極端に簡単な作業しか与えず評価を下げる過小要求も、典型的ないじめの形です。どちらも被害者の自尊心を奪い、正常な勤務評価を受けられなくなるリスクがあります。

職場のいじめ解決に向けて最初にやるべき初期対応|証拠収集と外部窓口

最初にやるべき初期対応|証拠収集と外部窓口

職場いじめは「我慢すればそのうち収まる」と思われがちですが、実際には長期化しやすく、証拠のない状態で会社に訴えても取り合ってもらえないことが多いのが現実です。

退職を検討するかどうかにかかわらず、まずは自分の身を守るための初期対応を正しく行うことが重要です。ここでは、最初に着手すべき行動を2つの軸にまとめて解説します。

証拠になるもの(録音・メール・メモ・診断書)

いじめの事実を裏付ける証拠があるかどうかで、その後の対応の選択肢が大きく変わります。暴言や高圧的な指導はスマホで録音し、メール・チャット・業務指示ツールの記録は削除せず保管します。無視や孤立など記録に残りにくい行為は、日時・状況を具体的にメモするだけでも十分証拠として機能します。精神的ストレスが強い場合は、心療内科で診断書を取得すると、会社への申し入れや退職手続きでも有利に働きます。

使える相談窓口(社内/人権110番/労働局)

証拠が揃い始めたら、社内窓口や外部機関を活用する選択肢が生まれます。まずは人事・総務など社内のハラスメント窓口にメールで相談し、状況を正式に記録として残します。社内で改善が見込めない場合は「みんなの人権110番(法務省)」「労働局」など、外部の相談窓口が利用できます。これらの機関は相談内容を整理し、企業の対応が不適切な場合に必要なアドバイスや是正勧告の手段を提示してくれます。

職場いじめで会社が動かない理由|改善しない職場の特徴

職場いじめで会社が動かない理由|改善しない職場の特徴

職場いじめを相談しても「様子を見るように」「証拠がないと動けない」と放置されるケースは珍しくありません。企業側が動かない背景には、構造的な問題や管理体制の欠如があります。ここでは、改善が進まない職場に共通する特徴を整理し、退職判断の材料となるポイントを解説します。

管理職の理解不足・企業体質による放置

管理職がハラスメントの重大性を理解していない職場では、被害申告があっても軽視されやすく、「指導の範囲」「本人の問題」と処理されがちです。また、古い価値観が残る企業では、上下関係の厳しさが正当化され、暴言や過度な叱責が“文化”として容認されていることもあります。このような体質の職場は改善されにくく、被害者がいくら努力しても状況が変わらない傾向があります。

人事が機能しない中小・零細企業の構造的問題

社員数の少ない中小企業や零細企業では、人事部門が存在しない、もしくは形式的にしか機能していない場合があります。経営者や上司が加害者であるケースでは、内部申告そのものが成立しません。相談できる第三者がおらず、改善ルートが閉ざされているため、いじめの長期化・悪化につながりやすいのが特徴です。このような環境では、自力による改善はほぼ不可能で、退職を視野に入れるべき状況といえます。

職場いじめが続く中で働き続けるリスク

職場いじめが続く中で働き続けるリスク

いじめや嫌がらせを受けながら働き続けることは、「慣れれば大丈夫」「耐えれば評価される」と自分を納得させてしまいがちです。しかし実際には、長期的に見て深刻な悪影響を及ぼすケースが多く、退職すべきタイミングを逃すことで状況が悪化することもあります。ここでは、働き続けることによる主なリスクを整理し、「辞める決断」を検討する際の材料として解説します。

メンタル不調の進行リスク

継続的ないじめは、ストレス性胃腸炎、不眠、抑うつ状態、適応障害などの精神的不調に直結します。特に、悪口・無視・人格否定などの精神的攻撃は、短期間でも心身にダメージを与えやすく、放置すると回復に長期間を要するケースもあります。休職や通院が必要となれば、仕事だけでなく生活全体に支障が出る恐れがあるため、早めの判断が重要です。

退職妨害・嫌がらせのエスカレート

被害を受けたまま働き続けると、加害者側が「何をしても問題にならない」と感じ、嫌がらせがエスカレートすることがあります。また、退職を申し出た際に「忙しいからダメ」「人手不足だから無理」など、退職妨害が行われるリスクも高まります。いじめが構造化している職場ほど、時間経過とともに状況が悪化しやすく、自力での改善は困難です。

職場いじめが原因で退職を決断したらやること|安全に辞めるための準備

退職を決断したらやること|安全に辞めるための準備

職場いじめが改善せず退職を選ぶ場合、衝動的に辞めるのではなく、事前準備をしておくことでトラブルを最小限に抑えることができます。特にいじめが絡む職場では、退職の意思を伝えた途端に態度が変わることも多いため、在職中から安全に抜け出すための準備を整えることが重要です。ここでは、辞めると決めた直後に取り組むべき具体的なステップを整理します。

在職中に転職活動を始めるべき理由

精神的に追い詰められている状況でも、可能な限り在職中に転職活動を進めた方がリスクは低くなります。無収入期間を作らずに済むほか、いじめによる退職でも「前向きな転職理由」に言い換えやすく、選考にもプラスに働きます。また、次の職場が決まっていることで、退職を伝える際の不安が大幅に軽減されます。

退職意思を伝える時期と注意点

退職日の1か月前を目安に伝えるのが一般的ですが、いじめがある場合は「早めの申告」が安全です。ただし、直接伝えることが負担であれば、メールや書面で意思表示する方法もあります。退職理由は詳細に述べる必要はなく、「一身上の都合」で十分です。引き止めや嫌がらせを避けるためにも、感情的なやり取りを避けて淡々と進めることが大切です。

退職代行は有効か?|一般企業と弁護士の違い

退職代行は有効か?|一般企業と弁護士の違い

会社内のいじめや嫌がらせが原因で退職したいのに辞めさせてもらえない場合、退職代行の利用は有効な選択肢となります。ただし、退職代行には「一般企業」と「弁護士」の2種類があり、対応できる範囲や法律上の権限に大きな違いがあります。特にいじめやパワハラが絡むケースでは、相手企業が強圧的な態度を取ることも多く、サービス選びを誤るとトラブルが長期化する恐れがあります。ここでは両者の違いと、どのようなケースで弁護士の退職代行が適しているかについて解説します。

一般企業の退職代行で対応できない範囲

一般企業の退職代行は「退職の意思を伝える」代行に限定され、法律上の交渉行為は一切できません。いじめや嫌がらせで退職したい場合、会社側が退職届の受け取りを拒否したり、有給消化に応じなかったりと、いわゆる退職妨害が発生することがあります。このような場面で一般企業の退職代行は会社からの反論に対処できず、結果的に「本人が対応してください」と丸投げされることもあります。また損害賠償をほのめかされるなど脅し的な発言を受けた際も、法的に反論できないため十分な防御が難しい点が最大の制約です。

労働組合型の退職代行も性質は一般企業と変わりなし

近年は労働組合加盟型の退職代行業者も増えていますが、これらは一般企業の代行業者が法的に交渉するために隠れ蓑として労働組合型に切り替えているだけのため、担当者の法的知識や交渉すきるは素人となります。話がこじれそうな場合は、労働組合型の代行業者では解決できないことも多くあります。

弁護士の退職代行が適しているケース

いじめ・パワハラ・退職妨害など法的トラブルを伴うケースでは、最初から弁護士による退職代行が安全です。弁護士であれば会社との交渉、請求対応、有給消化の主張、離職票の発行催促など、法律行為を含むすべての手続きに対応できます。

また、暴言や隔離といったハラスメントの証拠が手元にある場合は、損害賠償請求や慰謝料の可能性まで見据えたアドバイスが可能です。会社側が強圧的な態度を取るケースほど弁護士の介入効果は大きく、依頼者が会社と一切連絡を取らずに即日退職を実現できる点も大きなメリットと言えるでしょう。

弁護士法人みやびのサポート|安全かつ確実に退職するために

弁護士法人みやびのサポート|安全かつ確実に退職するために

職場いじめに苦しみ、退職を決断したものの「退職を受け付けてもらえない」「上司が威圧的で話ができない」「嫌がらせが続いて精神的に限界」というケースでは、自力での手続きが難しいことも珍しくありません。弁護士法人みやびでは、退職代行サービスを通じて退職手続きの代行が可能であり、いじめやパワハラが関係するケースにも法的知見をもって対応できます。

また、退職後の書類トラブルや会社側との不当な交渉が発生した際にはアフターサポートも提供しており、安全に会社を離れるための体制を整えています。

弁護士による退職手続きの代行

弁護士法人みやびでは、退職の意思の伝達から会社側との連絡、退職日の調整まで、労働問題を扱う弁護士が法的根拠に基づいて進めます。一般の退職代行では対応できない「会社との交渉」や「法的トラブルの処理」まで担えるため、いじめやパワハラのような複雑なケースでも安全に辞めることができます。即日退職にも対応しているため、精神的に限界を迎えた人でも早期に職場から離れることが可能です。

証拠整理・書類トラブルへのアフターサポート

弁護士法人みやびは退職後の「いじめの証拠整理」「退職証明書や離職票が届かない」「不当な理由で拒否される」といった書類面のトラブルにも対応できます。退職代行を依頼したあとに会社から嫌がらせ的な対応をされるケースも存在しますが、弁護士が介入することで企業側の態度が変わることも多く、問題の早期解決につながります。「退職はできたが書類が届かない」という相談も多いため、アフターフォローまで一貫して依頼できるのが大きな安心材料です。

まとめ|今の職場を辞めるべきか判断するチェックリスト

まとめ|今の職場を辞めるべきか判断するチェックリスト

職場いじめや嫌がらせは、時間の経過とともに心身への負担が大きくなり、正常な判断が難しくなることがあります。最終的に退職するかどうかを決めるために、以下の項目を基準として自分の状況を振り返ってみてください。複数当てはまる場合、現状を続けることは非常に危険であり、早めの退職や外部相談を考える必要があります。

退職を検討すべきサイン(チェック形式)

  • いじめ・嫌がらせが1か月以上続いており改善の兆しがない
  • 上司や人事に相談したが対応してもらえなかった、または軽視された
  • 出勤前に強い不安・吐き気・動悸が出るなど体調が悪化している
  • 仕事のミスが増え、自信や判断力が著しく低下している
  • 職場に味方が1人もおらず孤立していると感じる
  • 退職の意向を示しても無視される、退職届を受け取ってもらえない
  • 暴言・暴力・人格否定など明らかなハラスメントが続いている
  • 転職活動をする気力が残らず、生活そのものが苦しくなっている

ひとつでも該当する場合は注意が必要であり、複数当てはまる場合は「退職すべきライン」を超えている可能性があります。自分の心身を守るためにも、無理に働き続ける必要はありません。必要であれば外部の専門家の介入によって、安全に職場環境から離れる道を選ぶことも大切です。

弁護士法人「みやび」は全国の「会社を辞めたいけど辞められない」人に退職代行サービスを提供しています。LINE無料相談・転職サポート・残業代等各種請求にも対応しており、27,500円(税込)から承っています。まずはお気軽にご相談ください。

平成12年慶應義塾大学法学部法律学科卒。 平成15年に司法試験合格後、片岡法律事務所入所。

債権回収、相続問題といった一般民事事件から、M&A、事業再生、企業間取引
労務管理、知的財産権などの企業法務まで、数多くの実務に従事する。

平成19年からは慶應義塾大学法科大学院講師(実務家ゼミ担当)及び慶應義塾大学法学研究所講師を務める。
平成21年に弁護士法人みやびを開設し、現在に至る。

職場いじめで退職を検討するときのよくある質問(FAQ)

職場いじめによって退職を考える人から寄せられる代表的な質問を、本文に基づいて整理しています。安全に退職するための実務的なポイントを中心にまとめています。

職場いじめはどのラインで「退職すべき」と判断できますか?

身体的攻撃、人格否定の暴言、継続的な無視や孤立が続く場合は、退職を選択すべき深刻なラインです。これらはいずれも厚労省がパワハラと定義する典型行為であり、改善を期待して我慢しても状況が悪化するケースが多くあります。

職場いじめの証拠がないと退職相談や労働局は対応してくれませんか?

録音、メール、チャット履歴、指示内容の記録など、何らかの証拠がある方が対応が進みやすくなります。特に退職妨害を受けるリスクがある場合、早めの証拠収集が重要です。

職場いじめを会社に相談しても改善されません。退職前にどこへ相談すべきですか?

社内窓口が機能しない場合は、「みんなの人権110番」や労働局が利用できます。企業の対応が不適切な際に、是正の助言や必要なアクションを示してくれます。

職場いじめに耐えながら働くと、退職判断を誤るリスクはありますか?

メンタル不調、適応障害、睡眠障害などを引き起こす可能性が高まり、回復にも時間がかかります。暴言や無視が続くほど、退職妨害やエスカレートのリスクも増えます。

職場いじめで退職したいのに、上司に言い出せません。どうすればいいですか?

直接伝えるのが怖い場合は、書面やメールで淡々と意思表示する方法があります。「一身上の都合」で十分です。心理的負担が強い場合は、弁護士へ相談することで安全に進めることができます。

職場いじめが原因でも、退職代行を使えば即日退職できますか?

はい。特に弁護士による退職代行であれば、退職妨害への対応、有給消化の主張、書類催促まで対応できるため、職場いじめのケースに適しています。

職場いじめがひどく退職したのに、退職証明書・離職票を出してもらえない場合は?

弁護士による退職代行を利用した場合、退職後の書類トラブルも含めて法的根拠をもって催促できます。個人で交渉する必要はありません。

職場いじめの被害で退職したあと、慰謝料や損害賠償を請求できますか?

録音、診断書、隔離・侮辱行為の記録などがあれば、慰謝料請求が可能なケースがあります。法的判断が必要なため、弁護士への相談が推奨されます。

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