退職代行の退職届は郵送で提出|送り方と注意点を解説

退職代行利用時の退職届の出すタイミングや提出方法

退職代行を利用して会社を辞める場合、退職届は郵送で提出するのが一般的です。法律上、退職届の提出が義務付けられているわけではありませんが、多くの企業では退職手続きを進めるために提出を求められます。

一方で、「いつ郵送すればいいのか」「普通郵便でも問題ないのか」「封筒はどう書けばいいのか」など、実務的な手順が分からず不安になるケースも少なくありません。

この記事では、退職代行を利用する際の退職届の郵送方法について、提出タイミング、封筒の書き方、貸与品の返却方法、内容証明郵便を利用するケースまで、弁護士の視点から実務に沿って解説します。

【結論】

  • 退職代行を利用した場合でも、退職届は郵送で提出するのが一般的
  • 退職届は法律上の提出義務ではないが、円滑な退職手続きのため提出するケースが多い
  • 封筒や添え状など最低限のマナーを守ることで会社とのトラブルを防ぎやすい
  • 社員証やパソコンなどの貸与品は退職届とあわせて返送できる
  • 会社が退職届を受け取らない場合や退職を拒否する場合は、弁護士へ相談することで適切に対応できる
目次

退職代行の退職届は郵送で提出するのが一般的

退職代行の退職届は郵送で提出するのが一般的

退職代行を利用する場合でも、退職届は郵送で提出するのが一般的です。退職代行業者や弁護士が会社へ退職の意思を伝えた後、人事担当者宛てに退職届を郵送する流れが多く採られています。

法律上必須ではない

退職届は、法律で提出が義務付けられている書類ではありません。

民法627条では、期間の定めのない雇用契約であれば、退職の意思表示から2週間が経過することで雇用契約は終了すると定められています。そのため、退職届を提出しなければ退職できないわけではありません。

ただし、会社の就業規則で退職届の提出手続きが定められている場合や、会社側が退職手続きを進めるために提出を求めるケースは少なくありません。

実務では提出するケースが多い

退職届は法的義務ではありませんが、実務上は提出するケースが一般的です。

会社は退職届をもとに、社会保険や離職票、源泉徴収票などの各種手続きを進めます。また、本人が退職の意思を明確に示した証拠にもなるため、後日のトラブル防止にも役立ちます。退職代行を利用する場合でも、退職届を提出しておくことで、会社側の手続きが円滑に進みやすくなります。

出社は不要

退職届を提出するために、会社へ出社する必要はありません。

多くの場合は郵送で提出できるため、退職代行を利用した後に会社へ出向くことなく退職手続きを進められます。社員証や健康保険証、パソコンなどの貸与品がある場合も、退職届とあわせて郵送で返却できるケースがほとんどです。

会社から「退職届を提出するために出社してほしい」と求められることもありますが、郵送で対応できるのであれば、必ずしも応じる必要はありません。会社とのトラブルが予想される場合は、弁護士へ相談しながら手続きを進めると安心です。

退職届を郵送するタイミング

退職届を郵送するタイミング

退職代行を利用する場合、「退職届はいつ郵送すればいいのか」は多くの人が迷うポイントです。提出が早すぎても遅すぎても会社との行き違いが生じることがあるため、退職代行業者や弁護士と連携しながら適切なタイミングで送ることが重要です。

退職代行へ依頼した当日に送るべき?

一般的には、退職代行業者や弁護士が会社へ退職の意思を伝える際に、会社から「じゃあ退職届出して」と案内があり、それに従って退職届を郵送します。会社側も退職代行から事前連絡を受けているため、退職届を受け入れる体制が整っていることが多く、手続きもスムーズに進みます。

退職代行へ依頼する前に郵送してしまうと、会社から直接連絡が来る可能性もあるため、まずは退職代行へ相談するのが安心です。

会社から提出を求められてからでもよい?

はい。会社から退職届の提出を求められてから郵送しても問題ないケースがほとんどです。

退職届は法律上の提出義務ではないため、「提出を求められたら送る」という対応でも退職の効力に影響するものではありません。ただし、会社の退職手続きを円滑に進めるためにも、提出を求められた場合はできるだけ速やかに郵送することをおすすめします。一連の流れが不明の場合は、退職代行業者や弁護士事務所に質問してみてください。

有給消化中はいつ送る?

有給休暇を消化しながら退職する場合も、退職届は郵送で提出できます。

退職代行が会社へ連絡した後、有給消化が始まるタイミングで郵送するケースが一般的です。退職日まで待つ必要はなく、会社から案内があった時点で送付すれば問題ありません。

有給消化中は会社へ出社する必要がないため、退職届の提出や貸与品の返却も郵送でまとめて行うことで、会社とのやり取りを最小限に抑えることができます。

退職届を郵送する方法

退職届を郵送する方法

退職届は、内容だけでなく送り方も重要です。会社へ確実に届き、退職手続きを円滑に進めるためには、封筒の書き方や郵送方法にも注意しましょう。ここでは、退職届を郵送する際の基本的なポイントを解説します。

封筒の書き方

退職届は、白色の無地の封筒を使用するのが一般的です。

封筒の表面には「退職届」と記載し、その下に会社名と担当部署(人事部や総務部など)を記載します。担当者名が分かる場合は、「〇〇様」と宛名を書くとより丁寧です。

裏面には自分の住所と氏名を記載します。郵送事故などが発生した際にも差出人が分かるため、忘れずに記載してください。

添え状は必要?

添え状は必須ではありませんが、同封すると丁寧な印象になります。

添え状には、「退職届を送付すること」「ご対応へのお礼」「貸与品を同封している場合はその内容」などを簡潔に記載すれば十分です。

退職代行を利用している場合でも、添え状を付けることで会社側が内容を確認しやすくなり、退職手続きが円滑に進むことがあります。

普通郵便・簡易書留・内容証明の違い

通常は普通郵便や簡易書留で十分です。

普通郵便でも退職届は送付できますが、配達記録が残らないため、「届いていない」と言われた場合に証明することができません。そのため、確実に送付した記録を残したい場合は、簡易書留や一般書留を利用すると安心です。

一方、内容証明郵便は、送付した文書の内容と発送日を日本郵便が証明する制度です。会社とのトラブルが予想される場合や、退職の意思表示を客観的な証拠として残したい場合に利用を検討するとよいでしょう。通常の退職では必要になるケースは多くありません。

社員証・制服・PCなど貸与品の返却方法

社員証・制服・PCなど貸与品の返却方法

退職代行を利用して退職する場合でも、会社から貸与されている物品は返却する必要があります。退職届と同様に郵送で対応できるケースがほとんどであり、会社へ出社して返却する必要はありません。

返却漏れがあると会社から連絡が来る原因にもなるため、退職届を送付するタイミングで貸与品もあわせて整理しておくことが大切です。

退職届と一緒に送ってもよい?

退職届と貸与品を同じ荷物で送っても問題ありません。社員証や健康保険証、制服、社用携帯、社員証など比較的小さな物であれば、退職届と同封して郵送するケースも多くあります。

一方で、ノートパソコンやモニターなど大型の貸与品は、破損防止のため別便で返送した方が安全な場合もあります。返送方法について会社から指定がある場合は、その指示に従いましょう。

返却時の注意点

貸与品を返送する際は、何を返却したのかが分かるようにしておくことが重要です。返却物が複数ある場合は一覧を添え状へ記載したり、発送前に写真を撮影したりしておくと、後から「返却されていない」と主張された場合の証拠になります。

また、宅配便やゆうパックなど追跡サービスが利用できる方法で発送すれば、会社へ届いた日時も確認できます。会社とのトラブルが予想される場合は、発送控えや追跡番号を退職手続きが完了するまで保管しておくと安心です。

内容証明郵便を使うべきケース

内容証明郵便を使うべきケース

退職届は通常の郵送や簡易書留で十分なケースがほとんどです。しかし、会社とのトラブルが予想される場合や、退職の意思表示を証拠として残しておきたい場合には、内容証明郵便を利用した方がよいこともあります。

ここでは、内容証明郵便の利用を検討すべき代表的なケースを紹介します。

会社が退職届を受け取らない場合

会社が退職届の受け取りを拒否したり、「本人が直接持参しなければ受理しない」と主張したりするケースがあります。このような場合でも、退職の意思表示そのものを会社へ到達させることが重要です。内容証明郵便を利用すれば、「いつ」「どのような内容の文書を送付したのか」を客観的に証明できます。

会社が退職届を受け取ろうとしない場合は、退職代行業者や弁護士へ相談しながら、内容証明郵便による送付を検討するとよいでしょう。

退職を拒否されている場合

「人手不足だから辞められない」「後任が決まるまで退職は認めない」などと言われ、会社が退職を拒否するケースもあります。

しかし、期間の定めのない雇用契約であれば、民法627条に基づき、退職の意思表示から原則2週間で退職できます。会社の承諾がなければ退職できないわけではありません。

会社との対立が強く、後から「退職の意思表示を受けていない」と争われる可能性がある場合は、内容証明郵便を利用して証拠を残しておくことで、トラブルの防止につながります。

なお、内容証明郵便を送付すべきかどうかは状況によって異なります。退職代行を利用している場合は、自己判断で発送するのではなく、担当する弁護士や退職代行業者へ事前に相談することをおすすめします。

郵送後に会社から連絡が来た場合の対処法

郵送後に会社から連絡が来た場合の対処法

退職届を郵送した後でも、会社から本人へ電話やメールが来ることがあります。退職代行を利用しているからといって、会社が本人へ連絡すること自体を法律で禁止できるわけではありません。

大切なのは、会社からの連絡に慌てて対応せず、状況に応じて適切な方法を選ぶことです。

本人から電話するよう言われたら?

会社から「本人から電話してください」「一度会社へ来て説明してください」と求められることがあります。しかし、退職代行を利用した目的が会社との直接のやり取りを避けることにあるのであれば、必ずしも応じる必要はありません。

弁護士や退職代行業者へ依頼している場合は、「今後の連絡は担当者を通してください」と対応してもらうことで、会社との直接交渉を避けられるケースが多くあります。

退職届を受理しないと言われたら?

会社から「退職届は受理しない」「本人が持参しなければ認めない」と言われることもあります。

しかし、退職届を受理するかどうかは会社の判断であっても、退職の意思表示そのものまで無効になるわけではありません。期間の定めのない雇用契約であれば、民法627条に基づき、退職の意思表示から原則2週間で退職できます。

会社が退職届の受理を拒否している場合は、内容証明郵便の利用や弁護士を通じた対応を検討するとよいでしょう。

弁護士へ相談した方がよいケース

会社とのやり取りが通常の退職手続きを超えている場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

例えば、退職を認めないと言われている場合や、損害賠償を請求すると脅された場合、本人へ何度も執拗な連絡が続いている場合などは、法律的な対応が必要になる可能性があります。

弁護士が対応する退職代行であれば、会社との法的なやり取りや交渉にも対応できるため、トラブルが大きくなる前に解決できるケースも少なくありません。

弁護士の退職代行なら退職届の提出も相談できる

弁護士の退職代行なら退職届の提出も相談できる

退職届の郵送方法や提出タイミングは、会社との関係によって判断が異なります。通常は郵送で問題なく退職手続きを進められますが、会社が退職届を受け取らない場合や、退職自体を拒否している場合には、状況に応じた対応が必要です。

また、「内容証明郵便を利用した方がよいのか」「貸与品はいつ返却すればよいのか」など、判断に迷う場面も少なくありません。自己判断で対応すると、かえって会社とのトラブルが長引く可能性があります。

弁護士が対応する退職代行であれば、退職届の提出方法や郵送のタイミングだけでなく、会社から退職を拒否された場合や損害賠償を示唆された場合など、法的な問題も含めて相談できます。

退職代行と退職届の郵送に関するよくある質問

退職代行を利用する際は、退職届の郵送方法や提出タイミングについて疑問を持つ人も多くいます。ここでは、よく寄せられる質問に回答します。

退職代行を利用しても退職届は必要ですか?

法律上、退職届の提出は義務ではありません。ただし、会社の退職手続きを円滑に進めるため、実務上は提出を求められるケースが多くあります。

退職届は会社へ直接持って行く必要がありますか?

いいえ。退職代行を利用する場合は、退職届を郵送で提出するのが一般的です。会社へ出社して提出する必要はありません。

退職届を会社が受け取らない場合はどうなりますか?

会社が受け取りを拒否した場合でも、退職の意思表示まで無効になるわけではありません。トラブルが予想される場合は、内容証明郵便の利用や弁護士への相談を検討しましょう。

退職届は手書きでなければいけませんか?

必ずしも手書きである必要はありません。パソコンで作成した退職届でも受理されるケースが多いですが、会社独自のルールがある場合は確認すると安心です。

退職届と貸与品は一緒に送っても問題ありませんか?

社員証や健康保険証、制服などは、退職届と一緒に郵送することができます。ただし、パソコンなど大型の貸与品は別便で返送した方が安全な場合もあります。

退職代行業者が退職届を代筆してくれますか?

退職届は本人の退職意思を示す書類であるため、本人が作成するのが原則です。書き方や提出方法については退職代行業者や弁護士へ相談できますが、本人になり代わって作成することはできません。

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平成12年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。平成15年に司法試験合格後、片岡法律事務所へ入所。

債権回収、相続問題などの一般民事事件から、M&A、事業再生、企業間取引、労務管理、知的財産権など幅広い企業法務に従事。平成21年に弁護士法人みやびを開設し、現在は退職代行サービスをはじめ、労働問題に関する法律相談・企業対応も行っています。

平成19年より慶應義塾大学法科大学院講師(実務家ゼミ担当)および慶應義塾大学法学研究所講師を歴任。

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