社長のパワハラで辞めたい|退職方法と注意点【弁護士解説】

会社社長経営者によるパワハラ。明日辞めたい人向けの解決法

会社の社長から怒鳴られる、人格を否定される、退職を申し出ても辞めさせてもらえない――このような状況に悩み、「もう限界だ」と感じている人もいるでしょう。

社長が相手の場合は社内に相談できる相手がいないことも多く、一人で抱え込んでしまいがちです。しかし、社長からパワハラを受けている場合でも、法律上は退職する自由があります。また、状況によってはパワハラに対する慰謝料請求や未払い残業代の請求が認められる可能性もあります。

この記事では、社長からパワハラを受けたときに最初にやるべきことや退職方法、相談先、退職代行を利用する際の注意点について弁護士の視点から解説します。

【結論】

・社長が退職を認めなくても退職することは可能
・パワハラの証拠は早い段階で保存しておくことが重要
・社長しかいない会社でも相談できる窓口はある
・損害賠償や退職拒否を理由に退職を諦める必要はない
・トラブルが予想される場合は弁護士へ相談するのが安心

目次

社長からパワハラを受けたら最初にやること

社長からパワハラを受けたら最初にやること

社長からパワハラを受けている場合、「すぐに会社を辞めたい」と考えるのは自然なことです。しかし、感情のまま退職を切り出してしまうと、証拠が残らなかったり、会社から退職を拒否されたりするなど、後から不利になる可能性があります。

まずは退職を有利に進めるための準備を行いましょう。証拠を残し、自身の健康状態を把握しておくことで、退職だけでなく慰謝料請求や労働問題へ発展した場合にも役立ちます。

パワハラの証拠を残す

パワハラを受けている場合は、できるだけ早い段階で証拠を保存することが重要です。

例えば、社長から送られてきたLINEやメール、チャットの内容、暴言を録音した音声データ、業務日誌などは重要な証拠になります。また、「いつ・どこで・何を言われたのか」を日付とともに記録しておくことも有効です。

これらの証拠は、会社とのトラブルだけでなく、慰謝料請求や労災申請などを検討する際にも役立つ可能性があります。

心身に不調があれば診断書を取得する

社長からのパワハラによって、不眠や食欲不振、強い不安感、うつ症状などがある場合は、無理をせず医療機関を受診してください。

医師の診断書は、パワハラによって健康被害を受けたことを示す客観的な資料となります。また、休職や傷病手当金の申請、慰謝料請求などを検討する際にも重要な資料となる場合があります。

「もう少し我慢すれば大丈夫」と無理を続けることで症状が悪化するケースも少なくありません。退職だけでなく、自分の健康を守ることを最優先に考えることが大切です。

社長が辞めさせてくれない場合の対処法

社長が辞めさせてくれない場合の対処法

社長からパワハラを受けている会社では、退職を申し出ても簡単に認めてもらえないケースがあります。「辞めるなら損害賠償を請求する」「退職届は受け取らない」などと言われ、不安になって退職を諦めてしまう人も少なくありません。

しかし、会社が退職を拒否したからといって、必ずしも退職できなくなるわけではありません。ここでは、社長によくある対応と適切な対処法を紹介します。

退職届を受け取ってもらえない場合

社長が退職届の受け取りを拒否したとしても、それだけで退職できなくなるわけではありません。

会社へ直接持参できない場合は、郵送で提出する方法があります。配達記録が残る簡易書留や内容証明郵便を利用すれば、退職届を送付した事実を証明しやすくなります。

また、退職代行を利用する場合は、会社へ退職の意思を伝えたうえで退職届を郵送するのが一般的です。出社して提出する必要はありません。

「辞めたら損害賠償」と脅された場合

社長から「辞めたら損害賠償を請求する」「会社に損失が出たら責任を取れ」と言われるケースがあります。

しかし、人手不足になったことや売上が落ちたことだけを理由に、退職した従業員へ損害賠償が認められるケースは一般的ではありません。

一方で、故意に会社へ損害を与えた場合や、会社の財産を持ち出した場合などは別の問題となります。不安な場合は社長と直接やり取りを続けるのではなく、弁護士へ相談しながら対応を進めることをおすすめします。

未払い給与・残業代・退職金を拒否された場合

退職を申し出た途端、「給料は払わない」「退職金は出さない」と言われるケースもあります。

しかし、法律上支払う義務のある給与や未払い残業代を、退職を理由に一方的に支払い拒否することは認められません。また、退職金についても就業規則などで支給条件が定められている場合は、その内容に従って支払われるのが原則です。

会社との話し合いで解決が難しい場合は、退職だけでなく未払い賃金や残業代についても対応できる弁護士へ相談すると安心です。

社長しかいない会社はどこへ相談すればいい?

社長しかいない会社はどこへ相談すればいい?

社長からパワハラを受けている場合、「社内に相談できる相手がいない」というケースは珍しくありません。特に中小企業やワンマン経営の会社では、人事部やコンプライアンス窓口がなく、相談先に困る人も多いでしょう。

そのような場合は、社外の相談機関や専門家を利用することが重要です。一人で抱え込まず、状況に応じた相談先を選びましょう。

労働基準監督署へ相談できること

労働基準監督署では、労働基準法違反が疑われる問題について相談できます。

例えば、長時間労働や未払い残業代、休日労働、安全配慮義務などが関係する場合は、会社への指導や調査が行われることがあります。

ただし、パワハラそのものについて会社へ退職交渉をしてくれたり、個人間のトラブルを解決したりする機関ではありません。そのため、「すぐに退職したい」「会社と交渉してほしい」という場合には、別の方法を検討する必要があります。

弁護士へ相談した方がいいケース

次のような状況では、早い段階で弁護士へ相談することをおすすめします。

・社長が退職を認めない
・損害賠償や懲戒処分を示唆されている
・未払い残業代や慰謝料も請求したい
・社長と直接連絡を取りたくない

弁護士であれば、退職手続きだけでなく、会社との交渉や金銭請求など法的な問題にも対応できます。社長が強硬な態度を取っている場合でも、法律に基づいて適切に手続きを進められるため、精神的な負担を軽減しながら退職を目指すことができます。

社長のパワハラで慰謝料請求できるケース

社長のパワハラで慰謝料請求できるケース

社長からパワハラを受けた場合でも、すべてのケースで慰謝料請求が認められるわけではありません。しかし、人格を否定する暴言や継続的な嫌がらせ、長時間にわたる精神的苦痛などによって心身に被害が生じた場合には、不法行為として慰謝料請求が認められる可能性があります

その場合、医師の診断書や録音データ、LINE・メールの履歴、パワハラの内容を記録したメモなどの証拠があると、事実を立証しやすくなります。未払い残業代や給与の未払いなど、他の労働問題がある場合は、それらをあわせて請求できるケースもあります。

また、退職を申し出た従業員に対し、法的根拠がないにもかかわらず「損害賠償を請求する」「会社に損失が出たら全額負担してもらう」などと繰り返し脅したり、不当に高額な賠償金を請求したりする行為は、退職を妨げるための心理的圧力として問題になることがあります。

このような行為が継続し、精神的苦痛を受けた場合は、パワハラや不法行為の一事情として慰謝料請求が認められる可能性もあります。会社から不当な請求を受けた場合は、一人で対応せず、証拠を保存したうえで弁護士へ相談することが重要です。

社長のパワハラで退職代行を利用するメリット

社長のパワハラで退職代行を利用するメリット

社長からパワハラを受けている場合、退職の意思を直接伝えること自体が大きな精神的負担になるケースがあります。また、ワンマン経営の会社では社長の意向が強く、「退職は認めない」「一度会社へ来い」などと言われ、話し合いが長引くことも少なくありません。

そのような状況では、退職代行を利用することで社長と直接やり取りすることなく退職手続きを進められます。ただし、退職代行には民間業者・労働組合・弁護士があり、それぞれ対応できる範囲が異なります。

民間業者で対応できること

民間の退職代行業者は、本人に代わって退職の意思を会社へ伝えることができます。一方で、退職条件や未払い賃金などについて会社と交渉することはできません。そのため、社長が退職を拒否している場合や、法的なトラブルが予想される場合には対応が難しくなることがあります。

労働組合で対応できること

労働組合が運営する退職代行は、団体交渉権に基づき会社と退職条件について交渉できます。退職日の調整や有給休暇の取得などについて話し合えるケースもあります。

ただし、慰謝料請求や未払い残業代の請求、損害賠償への対応など、法律上の代理行為は行えません。また、相手が素直にこちらの要求に応じない場合や、法的な紛争へ発展した場合には、弁護士へ相談する必要があります。

弁護士へ依頼した方がいいケース

社長から「辞めたら損害賠償を請求する」と脅されたり、未払い給与や残業代の請求、慰謝料請求を検討していたりする場合は、弁護士へ依頼することをおすすめします。また、今回のようにパワハラ気質の社長の場合、どのような交渉が必要となるのか不透明です。このようなときも、労働問題を専門に扱う弁護士に退職代行を依頼した方が確実に退職できると言えるでしょう。

社長のパワハラで辞めたい人は弁護士へ相談を

社長のパワハラで辞めたい人は弁護士へ相談を

社長からパワハラを受けている会社では、退職を申し出ても強く引き止められたり、損害賠償を示唆されたりするなど、一般的な退職よりもトラブルが起こりやすい傾向があります。一人で対応を続けると精神的な負担も大きくなり、退職手続きが長引く可能性もあります。

弊所では、退職代行だけでなく、会社との交渉や未払い給与・残業代の請求、パワハラによる慰謝料請求など、退職に伴う法的トラブルについてもご相談いただけます。

社長との直接のやり取りを避けながら退職したい方や、会社から強い圧力を受けている方は、一人で抱え込まず、まずは弊所弁護士事務所へご相談ください。

社長のパワハラに関するよくある質問

社長からのパワハラについては、「退職を拒否されたらどうなるのか」「損害賠償を請求されたら支払わなければならないのか」など、不安を感じる方も少なくありません。ここでは、本文で紹介しきれなかった疑問について、よくある質問形式で分かりやすく解説します。

社長から毎日怒鳴られています。パワハラになりますか?

業務上必要な指導の範囲を超え、人格を否定する発言や威圧的な言動、継続的な暴言などがある場合は、パワハラに該当する可能性があります。録音やメール、チャットなどの証拠を残しておくことが重要です。

社長が退職を認めない場合でも辞められますか?

期間の定めのない雇用契約であれば、法律上は退職の意思表示をした後、原則として2週間で退職できます。会社が一方的に退職を拒否し続けることはできません。

社長から損害賠償を請求されることはありますか?

会社から損害賠償を示唆されるケースはありますが、退職したことだけを理由に損害賠償が認められるケースは一般的ではありません。不当な請求を受けた場合は、自己判断せず弁護士へ相談しましょう。

社長を訴えることはできますか?

パワハラによって精神的苦痛や健康被害を受けた場合は、状況によって慰謝料請求などの法的手続きを検討できる可能性があります。そのためには、録音や診断書など客観的な証拠を残しておくことが重要です。

労働基準監督署へ相談すると解決できますか?

労働基準監督署は、労働基準法違反が疑われる問題について相談できます。ただし、退職交渉や慰謝料請求など個別の法律問題に直接対応する機関ではありません。

退職代行を利用すると会社へ行かずに辞められますか?

多くのケースでは、退職代行が会社へ退職の意思を伝えた後、退職届や貸与品を郵送することで退職手続きを進められます。会社とのトラブルが予想される場合は、弁護士が対応する退職代行を利用するとより安心です。

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