労働組合の退職代行の違法性とおすすめか否か
労働組合加盟業者と弁護士のどちらに退職代行を依頼すべきか迷っている人は是非ご覧ください。労働組合加盟業者と弁護士の違いやサービスの概要、違法性の有無を紹介します。
労働組合の退職代行サービスは「ユニオン」に加盟するのが一般的
退職代行サービスを提供する業者・企業は大きく分けて以下3種が存在します。
- 弁護士(個人事務所・法人)
- 労働組合加盟型の一般企業
- 一般企業
退職代行はほとんどのケースで有給休暇の消化や未払いの残業代・給与の請求、退職金の対応などが伴うため、金銭交渉ができない3.一般企業では重荷となり、元来退職代行は弁護士の業務領域でした。
しかし、近年は一般企業の中でも業者が結成している団体(ユニオン)に依頼者が加盟することで、団体交渉権を得て業者担当者が代わりに交渉するケースも増えてきました(2.労働組合加盟型の一般企業)。
労働組合加盟の退職代行は違反?業者の違法性について
一般企業が有給休暇の消化交渉も含めて金銭の伴う代理交渉をするのは弁護士法違反となります。また、それ以外にも法律を伴う交渉も違反となり、これらは「非弁行為(弁護士法第77条)」に相当します。
しかし、一般企業が労働組合に加盟することで、金銭交渉は一部が合法的に可能となります。上記で挙げた有給休暇の消化や未払いの残業代・給与等・退職金などの請求は可能となりますが、その一方で訴訟・裁判の代理はできませんので、これらの可能性が少しでもある場合は、最初から弁護士に依頼するのが費用対効果の面でもおすすめです。
労働組合加盟の退職代行交渉は違法ではないがメリットよりデメリットが大きい理由
労働組合加盟型の退職代行業者が依頼者に代わって各種交渉をすること自体は上述した通り違法ではありません。しかし、違法ではないというだけで、退職代行の依頼を弁護士と比較した場合、メリットよりもデメリットの方が上回るのが率直な印象です。
労働組合加盟の退職代行業者は「法律の素人」が金銭交渉をする
労働組合加盟と聞くと政府公認の団体といったイメージがありますが、退職代行業者の団体は「合同労働組合」と呼ばれ、自由に結成できるため一般企業と性質は変わりません。
また、労働組合加盟業者といっても、金銭交渉を会社としてくれる担当者は弁護士資格を持たない法律の素人となります。単に「交渉が違法ではない」というだけで法律の専門家でもない人間が仲介に入るのは非常にリスクがあると考えます。
労働組合加盟の退職代行に対応を依頼・検討する際の費用相場
弁護士ではなく、労働組合加盟の退職代行に依頼を検討している人の多くは、「費用・料金が安い」という理由です。労働組合加盟の退職代行業者は一般企業のため、代行に掛かる費用は弁護士よりも若干安いことが挙げられます。
一般企業の平均相場:3万円~5万円
労働組合加盟業者の平均相場:4万円~6万円
弁護士事務所の平均相場:5万円~8万円
上記から分かるように、労働組合加盟業者は弁護士よりも費用が安く済むといっても、実際は2万円前後しか変わりません。退職や金銭交渉を他者に任せることのリスクはよく吟味が必要です。
労働組合加盟業者の残業代や給与の請求代行は違法ではないが失敗リスクもある
残業代や給与の請求交渉は労働組合加盟業者でも違法ではないことが分かります。
退職代行の担当者が支払い請求し、企業側がすんなりと要求を呑んでくれればいいのですが、所謂ブラック体質の企業だと各種請求や手続きが暗礁に乗り上げることがよくあります。
「うちの会社は有給休暇なんてないから」
「この忙しいときに勝手に辞めて有給取得?損害賠償請求するよ」
「他の従業員にも出してないんだから残業代なんて払わないよ」
「退職金が少ない?退職金の設定は会社が自由に決められるでしょ」
といったトラブルがよく散見されます。いずれも労働法を深く理解した弁護士が介入することで適切な対処・解決が可能となりますが、労働組合加盟業者に依頼したところで、上記問題が解決に至るかは疑問の余地があります。
退職代行業者は労働組合加盟の一般企業よりも「弁護士」に連絡を
退職代行業者を選ぶとき、有給休暇の消化や残業代の請求といった金銭交渉や「退職届を受け取ってくれない」など辞めたくとも辞められない状況に陥っているときは、労働組合加盟業者よりも弁護士法人に依頼するのが確実な退職への道となります。
金銭交渉だけではない。辞めたいけど辞められない人も多数
一般的に辞めたいときに辞められる状況にある、あるいは退職届を出せば辞められるのであれば、退職代行サービスを利用する必要はありません。
退職代行の利用を検討している多くは、何かしらの事情により「辞めたいけど辞められない」状況にあるケースが大半です。
- 上司がパワハラ体質で退職届を受け取ってくれない
- 会社の社長が執拗に引き留めてきて辞めさせてくれない
- 「辞めたら損害賠償を請求する」と脅されている
- 会社の退職規定(3か月前の申告)に従えば辞められるけど、それまで待てない
といった場合は、スムーズな円満退職が難しく、退職代行業者側にも法律を盾にとった臨機応変な立ち回りが求められます。労働問題を専門とする弁護士はこのような会社の対応に慣れていますが、労働組合加盟の業者はあくまでも一般の会社のため、法律を駆使して対応することができません。
労働組合加盟業者に依頼して訴訟トラブルに発展する懸念もある
労働組合加盟型の退職代行業者は金銭交渉に違法性はないものの、訴訟代理を務めることはできません。会社によっては脅しを通り越して本当に訴訟問題に発展させることもあります。
その際は労働組合加盟業者ではどうすることもできませんので、契約を終了させて改めて弁護士に依頼する必要があり、費用も手間も余計にかかってしまいます。
まとめ:各種手続き代行は弁護士「みやび」に無料相談
今回は労働組合加盟型の退職代行業者のサービス概要や違法性の有無について詳しく説明しました。労働組合加盟業者は弁護士と比較すると若干費用は安く済みますが、相手企業がブラック体質の場合は立ち回りに失敗するリスクがあります。「退職はできたけど有休消化できなかった」、「3年分の残業代を請求したかったけど失敗した」といった後悔を想定するのであれば、最初から弁護士に依頼した方がメリットは大きいものと考えます。
弊所弁護士法人みやびでは古くから退職代行サービスを提供しており、LINEやEmailにて無料相談を受け付けています。まずはお気軽にご相談ください。