適応障害でも即日退職できる?伝え方や辞め方を弁護士が解説

適応障害でも即日退職できる?伝え方や辞め方を弁護士が解説

適応障害によって仕事を続けることが難しくなった場合でも、状況によっては会社へ行かずに退職手続きを進めることは可能です。ただし、雇用形態や会社との合意の有無、診断書の有無などによって、取るべき方法は異なります。

また、「メールだけで退職を伝えられるのか」「診断書は必要なのか」「退職代行を利用できるのか」など、実際の手続きについて迷う人も少なくありません。

この記事では、適応障害で即日退職を目指す方法や会社への伝え方、診断書の活用方法、退職時の注意点について、弁護士の視点から詳しく解説します。
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【この記事の結論】

・適応障害でも状況によっては即日退職できる可能性がある
・会社へ行けない場合は無理に出社を続ける必要はない
・メールや書面で退職の意思を伝えられるケースもある
・診断書があると退職手続きを進めやすくなる場合がある
・自分で会社へ伝えられない場合は退職代行を利用する方法もある

目次

適応障害でも即日退職できる?結論から解説

適応障害を理由に、申し出た当日から職場へ行かずに退職手続きを進められる場合はあります。ただし、適応障害と診断されただけで、すべての人が自動的にその日付で雇用契約を終了できるわけではありません。

会社が同意すれば、雇用形態を問わず合意した日付で退職できます。会社の同意が得られない場合でも、有給休暇や欠勤を組み合わせることで、退職日までは在籍しながら申し出た当日から出社せずに済むケースがあります。

期間の定めがない雇用契約では、原則として退職の申し出から2週間が経過すると雇用契約が終了します。一方、契約社員など期間の定めがある雇用契約では、適応障害の症状や医師の意見、職場との因果関係などから「やむを得ない事由(民法628条)」があるかを個別に判断する必要があります。適応障害であることだけを理由に、必ず即日退職が成立するとは限らない点に注意してください。

適応障害でも即日退職できる可能性はある

適応障害で即日退職を目指す場合、主な方法は次のとおりです。

  • 会社と話し合い、当日付の退職に合意してもらう
  • 残っている有給休暇を退職日まで取得する
  • 療養のため欠勤しながら退職手続きを進める
  • 診断書を提出し、就労が難しい状態であることを説明する
  • 自分で連絡することが難しい場合は退職代行を利用する

このうち、会社との合意が成立すれば、当日付で雇用契約を終了できます。有給休暇や欠勤を利用する方法では、厳密な退職日は後日でも、申し出た日から職場へ行かずに済む可能性があります。

「即日退職」が、当日付で雇用契約を終了することを指すのか、今日から出社しないことを指すのかによって手続きが異なるため、両者を分けて考えることが大切です。

会社へ行けない場合は無理に出社しないことが大切

出勤しようとすると強い不安や動悸、吐き気、不眠などの症状が現れ、就労の継続が難しい場合は、まず心療内科や精神科などの医療機関を受診してください。症状が強い状態で、退職の説明や上司との面談のためだけに無理をして出社する必要はありません。

一方で、会社へ何も連絡せずに休み続けることは避けるべきです。無断欠勤として扱われるだけでなく、退職手続きや貸与品の返却など、その後の手続きが円滑に進まなくなるおそれがあります。電話での連絡が難しい場合は、メールやLINEなど記録が残る方法で、体調不良により出社できないことと退職の意思を伝えておきましょう。

自分で会社へ連絡することも難しい場合は、家族に連絡を依頼する方法のほか、退職代行を利用して会社とのやり取りを任せることも選択肢の一つです。

適応障害で即日退職する方法

適応障害で即日退職する方法

適応障害で働き続けることが難しくなった場合でも、退職の進め方は一つではありません。症状の程度や有給休暇の残日数、会社との関係などによって適した方法は異なります。ここでは、適応障害で即日退職を目指す代表的な方法を紹介します。

診断書を提出して退職する

心療内科や精神科で適応障害と診断された場合は、診断書を会社へ提出することで、就労が困難な状態であることを客観的に伝えられます。診断書があれば会社の理解を得やすくなり、退職日の調整や有給休暇の取得も進めやすくなります。診断書だけで即日退職が決まるわけではありませんが、会社との話し合いを円滑に進めるうえで重要な資料となります。

有給休暇を利用して退職する

有給休暇が残っている場合は、退職日まで有給休暇を取得することで、退職日まで出社せずに療養へ専念できます。適応障害で出勤が難しい場合でも、有給休暇を活用すれば心身への負担を抑えながら退職手続きを進められます。有給休暇の日数が不足している場合は、欠勤や休職など他の方法も含めて検討しましょう。

出社せず退職手続きを進める

症状が重く出社が難しい場合でも、退職の意思はメールや書面で伝えられます。退職届の提出や貸与品の返却も郵送で対応できることが多く、退職手続きのためだけに無理をして出社する必要はありません。会社とのやり取りは、後から内容を確認できるよう、メールなど記録が残る方法を選ぶことが重要です。

退職代行を利用する

適応障害によって会社へ連絡すること自体が大きな負担になっている場合は、退職代行を利用する方法もあります。退職代行を利用すれば、会社への退職連絡や必要なやり取りを任せられるため、上司や人事と直接やり取りする必要がありません。精神的な負担を軽減しながら退職手続きを進められることが大きなメリットです。

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会社への伝え方|メールだけで辞められる?

会社への伝え方|メールだけで辞められる?

適応障害で出社や電話が難しい場合でも、退職の意思を伝える方法は一つではありません。症状によっては、メールやLINEなど記録が残る方法で退職の意思を伝えることもできます。ただし、状況によっては電話や書面での対応が望ましい場合もあるため、自身の体調と会社との関係を踏まえて適切な方法を選ぶことが大切です。

メール・LINEのみで退職連絡は可能か

適応障害により電話や出社が難しい場合は、メールやLINEで退職の意思を伝えることもできます。法律上、退職の意思表示は必ず対面や電話で行わなければならないという決まりはありません。

ただし、会社によっては「電話で連絡してほしい」「一度面談したい」と求められることも普通です。そのような場合でも、体調により対応が難しいことを率直に伝え、まずはメールなど記録が残る方法で退職の意思を示すことが重要です。

メールで伝えるときの例文

退職の連絡は、感情的な内容を書く必要はありません。退職の意思と退職希望日、現在の体調を簡潔に伝えるだけで十分です。

【例文】

「適応障害と診断され、医師から療養が必要との指示を受けました。現在は出社が困難なため、〇月〇日をもって退職させていただきたく、ご連絡いたしました。今後の手続きにつきましては、メールでご連絡いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。」

診断書を取得している場合は、その旨をあわせて伝えると会社も状況を把握しやすくなります。

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電話・直接会って報告が必要なケース

体調に問題がなく、会社との関係も良好であれば、電話や対面で退職を伝えた方が手続きが円滑に進むこともあります。

一方で、上司から強い叱責を受けている、精神的な負担が大きく電話も難しいという状況であれば、無理に電話や面談へ応じる必要はありません。適応障害の治療では心身の回復を優先することが重要であり、退職を伝えるためだけに症状を悪化させるべきではありません。

出社せずに即日退職する場合の伝え方

出社できない状態で退職を希望する場合は、「体調不良により出社できないこと」「退職を希望していること」「今後の連絡はメールなどでお願いしたいこと」の3点を明確に伝えましょう。

その後の退職届の提出や貸与品の返却は郵送でも対応できます。会社とのやり取りは、メールなど記録が残る方法を利用することで、後から内容を確認でき、不要なトラブルを防ぐことにもつながります。自分で会社へ連絡することが難しい場合は、家族に連絡を依頼したり、退職代行を利用したりする方法も検討してください。

適応障害なら今月中・今日から辞めることはできる?

適応障害なら今月中・今日から辞めることはできる?

適応障害で出勤が困難になった場合、「今日から会社へ行きたくない」「今月中に退職したい」と考える人は少なくありません。実際にどのタイミングで退職できるかは、会社との合意の有無や有給休暇の残日数、雇用契約の内容などによって異なります。

一方で、退職日まで在籍する場合でも、有給休暇や欠勤を利用することで、申し出た日から出社せず療養に専念できるケースもあります。「退職日」と「最終出社日」は必ずしも同じではないことを理解しておきましょう。

申し出た当日から出社しなくてもよいケース

会社が即日退職に同意した場合は、その日付で退職できます。また、有給休暇が残っていれば、退職日まで有給休暇を取得し、申し出た日から出社しない方法も一般的です。

適応障害によって出勤が困難な場合は、医師から自宅療養を勧められることもあります。そのような状況では、無理に出社するよりも、会社へ事情を説明したうえで療養を優先することが重要です。

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診断書を取得した後の退職の進め方

診断書を取得した後の退職の進め方

適応障害と診断された場合は、診断書を取得することで、現在の就労が難しい状態であることを会社へ客観的に伝えられます。診断書は退職に必須ではありませんが、会社との話し合いを円滑に進めたり、有給休暇や休職、各種制度の利用を検討したりする際の重要な資料となります。

診断書の取得方法と費用の目安

診断書は、心療内科や精神科などの医療機関で医師の診察を受けたうえで発行してもらいます。初診当日に発行されることもありますが、症状や診察内容によっては後日の受け取りになる場合もあります。

診断書の費用は医療機関によって異なりますが、一般的には3,000円から5,000円程度が目安です。会社へ提出する目的であれば、「就労が困難であること」や「療養が必要であること」を記載してもらえるか、事前に医師へ相談しておくと安心です。

会社へ提出するタイミングと伝え方

診断書を取得したら、退職の意思を伝えるタイミングで会社へ提出するのが一般的です。メールで退職の意思を伝える場合は、診断書を取得していることをあわせて伝え、会社から求められた際に提出すると手続きがスムーズに進みます。

症状が重く出社できない場合は、無理に会社へ持参する必要はありません。郵送やメールでの提出に対応している会社も多いため、提出方法について会社へ確認しましょう。

診断書があることで利用できる制度

診断書を取得していると、傷病手当金や失業保険、自立支援医療制度など、退職後に利用できる制度の手続きで必要になることがあります。

制度によって利用条件は異なるため、診断書があれば必ず利用できるわけではありません。ただし、適応障害によって働くことが難しい場合は、利用できる制度がないか確認しておくことで、退職後の生活や治療に専念しやすくなります。

適応障害で即日退職するときの注意点

適応障害で即日退職するときの注意点

適応障害によって働き続けることが難しい場合でも、感情的に会社を辞めてしまうことは避けるべきです。退職自体は労働者の権利ですが、伝え方や手続きの進め方を誤ると、会社とのトラブルや退職後の手続きに支障が生じることがあります。
ここでは、適応障害で即日退職を進める際に押さえておきたい注意点を解説します。

無断欠勤は避ける

適応障害によって出社できない場合でも、会社へ何も連絡せずに休み続けることは避けてください。無断欠勤が続くと、会社との信頼関係が悪化するだけでなく、退職手続きや貸与品の返却など、その後のやり取りにも影響します。

電話での連絡が難しい場合は、メールやLINEなど記録が残る方法で、体調により出社できないことと退職の意思を伝えましょう。症状が重く自分で連絡できない場合は、家族や退職代行を通じて意思を伝える方法もあります。

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損害賠償を請求されるリスク

会社から「今辞めたら損害賠償を請求する」と言われ、不安になる人もいます。しかし、適法な退職によって会社が損害賠償を請求できるケースは極めて限定的です。

会社が損害賠償を請求するには、退職によって具体的な損害が発生したことや、その損害と退職との因果関係を立証しなければなりません。そのため、退職したという理由だけで損害賠償が認められることは通常ありません。

会社から損害賠償や懲戒処分を示唆された場合は、一人で判断せず、退職問題を取り扱う弁護士へ相談することをおすすめします。

有給休暇や引き継ぎの考え方

適応障害で即日退職を希望する場合でも、残っている有給休暇は取得できます。有給休暇を利用すれば、退職日まで出社せず療養しながら退職手続きを進められることもあります。

一方で、引き継ぎについては、体調を最優先に考えることが重要です。可能な範囲で業務内容をまとめたり、資料を残したりすることは望ましいものの、症状を悪化させてまで対応する必要はありません。出社が困難な場合は、メールで業務内容を共有するなど、自分が対応できる範囲で引き継ぎを行いましょう。

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退職後に利用できる制度

退職後に利用できる制度

適応障害を理由に退職した場合でも、一定の条件を満たせば利用できる公的制度があります。症状が改善する前に無理に転職活動を始めるのではなく、利用できる制度を活用しながら療養に専念することも大切です。
ここでは、退職後に知っておきたい代表的な制度を紹介します。

傷病手当金

健康保険の被保険者で一定の条件を満たしている場合は、傷病手当金を受給できることがあります。

傷病手当金は、病気やけがによって働けず給与の支払いを受けられない期間の生活を支える制度です。退職後も受給を継続できる場合があるため、退職前に会社や加入している健康保険へ確認しておくことをおすすめします。

失業保険と特定理由離職者

適応障害を理由に退職した場合でも、条件を満たせば失業保険(基本手当)を受給できます。また、病気や体調不良など、やむを得ない理由で退職したと認められた場合は、「特定理由離職者」として扱われ、自己都合退職よりも有利な条件で受給できることがあります。

認定には診断書などの提出を求められることがあるため、退職後はハローワークへ相談し、自分が対象になるか確認しましょう。

自立支援医療制度

適応障害の治療を継続する場合は、自立支援医療制度を利用できることがあります。

この制度を利用すると、精神疾患の通院治療にかかる自己負担額が軽減されます。自治体への申請が必要となるため、主治医や自治体の窓口へ相談し、利用できるか確認しておくと安心です。

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佐藤 秀樹

弁護士

平成12年慶應義塾大学法学部法律学科卒。 平成15年に司法試験合格後、片岡法律事務所入所。

債権回収、相続問題といった一般民事事件から、M&A、事業再生、企業間取引
労務管理、知的財産権などの企業法務まで、数多くの実務に従事する。

平成19年からは慶應義塾大学法科大学院講師(実務家ゼミ担当)及び慶應義塾大学法学研究所講師を務める。
平成21年に弁護士法人みやびを開設し、現在に至る。

適応障害でも即日退職できることに関するよくある質問

適応障害で退職を考えている方からは、「診断書がない場合はどうなるのか」「試用期間中でも辞められるのか」など、さまざまな相談が寄せられます。ここでは、本文で紹介しきれなかった疑問について、弁護士の視点から分かりやすく回答します。

診断書がなくても即日退職できますか?

診断書がなくても退職することは可能です。ただし、適応障害によって就労が困難なことを会社へ説明する際は、診断書がある方が状況を客観的に伝えやすくなります。会社との話し合いを円滑に進めるためにも、症状がある場合は医療機関を受診することをおすすめします。

試用期間中でも即日退職できますか?

試用期間中でも退職はできます。試用期間だからといって退職できなくなるわけではありません。適応障害によって勤務の継続が難しい場合は、無理に働き続けず、会社へ退職の意思を伝えましょう。

パートや派遣社員でも即日退職できますか?

パートや派遣社員でも退職は可能ですが、契約期間の有無によって考え方が異なります。期間の定めがない雇用契約であれば、正社員と同様の考え方が基本となります。一方、契約期間が定められている場合は、契約内容や退職理由によって判断が変わるため、必要に応じて弁護士へ相談すると安心です。

会社が退職を認めない場合はどうすればいいですか?

会社が退職を認めないと言っても、それだけで退職できなくなるわけではありません。まずはメールや書面など記録が残る方法で退職の意思を伝えましょう。それでも話し合いが進まない場合は、退職代行や弁護士へ相談することで解決できるケースもあります。

退職代行を利用すると会社へ連絡しなくても辞められますか?

退職代行を利用すれば、会社への退職連絡や退職手続きを代行してもらえるため、本人が会社へ直接連絡する必要はありません。適応障害によって電話や面談が難しい場合でも、精神的な負担を抑えながら退職を進められます。未払い賃金や有給休暇など法的な問題がある場合は、退職代行を提供する弁護士へ相談すると安心です。

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