地方公務員の退職手続きと辞め方|退職までの流れ

地方公務員が退職する場合は、上司への申し出や退職願の提出、人事担当部署での手続きなどを経て、正式な退職日を決定します。民間企業の会社員とは退職の仕組みが異なるため、自治体の規程に沿って手続きを進める必要があります。
退職を決めたものの、何か月前に申し出ればよいのか、退職願は誰に提出するのか、希望する日に辞められるのかなど、確認しておくべきことはいくつかあります。
この記事では、地方公務員の退職手続きと辞め方を時系列で解説します。退職願の書き方や退職日までの準備、退職後に必要な手続きに加えて、上司に引き止められて退職が進まない場合の対処法も紹介します。
【この記事の結論】
- 地方公務員は年度末に限らず、年度途中でも退職できる
- 退職するには、上司への申し出や退職願の提出など、勤務先の規程に沿った手続きが必要
- 退職願を提出しただけで退職が成立するわけではなく、任命権者による手続きが関係する
- 退職を申し出る時期や必要書類は、自治体の規程を確認する
- 退職を認めてもらえない、手続きが進まない場合は、人事担当部署や弁護士への相談を検討する
地方公務員の退職手続きの流れとスケジュール

本記事では、主に市役所や県庁などで働く任期の定めのない一般職の地方公務員を対象に、自己都合退職の手続きを説明します。会計年度任用職員など任期のある職員は、任期満了と任期途中の退職で取扱いが異なる場合があるため、勤務先の規程や任用条件を確認してください。
地方公務員が自己都合で退職する場合は、退職の意思を伝え、退職願の提出や人事担当部署での手続きを経て、正式な退職日を迎えるのが基本的な流れです。
市役所や県庁など、勤務先によって提出書類や承認の手順は異なりますが、一般的には以下の順番で進めます。
| 手順 | 主な内容 |
|---|---|
| ① 事前確認 | 退職希望日と自治体の規程を確認する |
| ② 退職の申し出 | 直属の上司に退職の意思を伝える |
| ③ 退職願の提出 | 必要書類を提出し、人事担当部署の手続きを進める |
| ④ 退職準備 | 業務の引き継ぎ、年次休暇、貸与品の返却を調整する |
| ⑤ 退職 | 正式な退職日と辞令の取扱いを確認する |
退職の申し出から正式な退職日までに必要な期間は一律ではありません。自治体の規程や希望する退職日、職場で必要となる手続きによって異なります。
① 退職希望日と自治体の規程を確認する
最初に確認するのは、いつ退職したいのかという希望日と、勤務先で定められている退職手続きです。
地方公務員の場合、退職に関する申出時期や提出書類、手続きの進め方は自治体によって異なります。職員向けの服務規程や人事担当部署の案内を確認し、退職願の提出期限や指定様式があるかを調べておきましょう。
退職希望日が決まっている場合は、そこから逆算して手続きを始めます。転職先の入社日が決まっている人は、その日程も踏まえて早めに確認することが大切です。
② 上司に退職の意思を伝える
退職の意思が固まったら、通常は直属の上司に退職希望日と辞める意思を伝えます。上司との面談後、人事担当部署へ話が進む場合や、さらに所属長との面談が必要になる場合もあります。
退職理由については、家庭の事情や転職、健康上の理由など、自分の状況に応じて説明します。詳細をどこまで伝えるかは事情によりますが、退職する意思と希望日は曖昧にしないことが重要です。
口頭で伝えただけでは手続きが始まらない場合もあるため、退職の申し出をした日付や、その後に案内された内容を記録しておくと確認しやすくなります。
③ 退職願を提出して人事担当部署の手続きを進める
上司や人事担当部署から提出方法の案内を受けたら、退職願などの必要書類を提出します。自治体によっては指定様式が用意されているため、自己判断で書類を作成する前に確認してください。
地方公務員の辞職には、任命権者による正式な手続きが関係します。退職願を提出しただけで希望日に必ず退職が成立するわけではないため、その後の手続きの進捗や退職予定日について人事担当部署に確認しましょう。
退職願の具体的な書き方や提出方法は、後述するセクションで詳しく説明します。
④ 退職日までの引き継ぎと年次休暇を調整する
退職に向けた手続きと並行して、担当業務の引き継ぎや年次休暇の取得について上司と調整します。
引き継ぎでは、担当業務の進捗状況、今後の対応予定、関係者への連絡事項などを整理しておくと、後任者や同僚が業務を引き継ぎやすくなります。後任が決まっていない場合も、必要な情報を資料に残しておく方法があります。
年次休暇が残っている場合は、取得できる日数と申請方法を確認しましょう。退職日と最終出勤日は必ずしも同じではありませんが、希望どおりに休暇を取得できるかは勤務先の規程や個別の状況に応じて確認が必要です。
⑤ 辞令と退職日を確認して退職する
退職日が確定したら、人事担当部署に正式な退職日と辞令の交付方法を確認します。
地方公務員の退職では、任命権者による辞職の手続きが必要となります。辞令書の交付方法や受け取り方は勤務先の規程によって異なるため、必ずしも本人が式典に出席して辞令を受け取るとは限りません。
最終出勤日までに職員証や貸与品の返却方法を確認し、退職後に必要となる証明書類についても人事担当部署に問い合わせておきましょう。
地方公務員は退職を何か月前に申し出る?

地方公務員が退職を申し出る時期は、全国一律に「1か月前」「3か月前」と決まっているわけではありません。勤務する自治体の規程や人事担当部署の案内を確認し、希望する退職日から逆算して準備する必要があります。
年度末の退職を前提に早い段階で意向確認が行われる職場もありますが、年度途中に辞めたい場合まで必ず同じ日程に従わなければならないとは限りません。
退職の申出期限は自治体の規程で確認する
退職を決めたら、まずは職員向けの服務規程や退職手続きの案内を確認しましょう。退職願の提出時期、指定様式、提出先などが定められている場合があります。
特に注意したいのは、職場で慣例となっている申出時期と、規程上の手続きを混同しないことです。例えば「年度末に辞めるなら前年の秋までに伝える」という職場の慣例があっても、それだけで年度途中の退職が認められないとは判断できません。
実際の提出期限は自治体や職員の所属によって異なります。例えば、東京都職員服務規程第14条では、特別の事由がある場合を除き、退職希望日の10日前までに退職願を提出すると定めています。一方、東京都立学校の職員については、東京都立学校職員服務規程第15条により、原則として退職希望日の30日前までに退職願を上司へ提出することとされています。
これらは退職願を提出する期限であり、期限内に提出すれば希望日に退職できると保証するものではありません。地方公務員の退職には任命権者による辞職の手続きが必要です。
規程上の提出期限と、上司への事前相談や業務の引き継ぎに必要な期間も別です。希望する退職日が決まったら、人事担当部署に提出期限と必要な手続きを確認しましょう。
参考:東京都職員服務規程(第14条)/東京都立学校職員服務規程(第15条)(2026年10月確認)
希望する退職日が近い場合の進め方
転職先の入社日が決まっている場合や、家庭の事情などですぐに退職したい場合は、希望日まで時間がないことを上司や人事担当部署に具体的に伝えましょう。
その際は、退職願の提出時期だけでなく、任命権者による手続きがいつ完了する見込みなのか、最終出勤日をどのように調整できるかを確認します。希望する退職日が近いほど、口頭の申し出だけで終わらせず、必要な書類や担当窓口を早めに把握することが重要です。
また、年度末まで待つよう求められた場合は、それが職場の人員配置上の希望なのか、退職手続き上の問題なのかを確認してください。希望日に退職できると決まったわけではありませんが、単に「今年度の退職希望者の募集が終わった」という説明だけで諦めず、正式な手続きを確認することが大切です。
年度途中で辞めることへの職場の影響や、引き止めへの対応については、以下の記事で詳しく解説しています。

地方公務員の退職願の書き方と提出方法

地方公務員が自己都合で退職する場合、勤務先の規程に従って退職願などの書類を提出します。自治体によって書類の名称や様式、提出先が異なるため、最初に人事担当部署へ確認してください。
退職願は、退職する意思と希望する退職日を正式に伝えるための書類です。民間企業のように退職届を一方的に提出すれば手続きが完了するとは限らず、任命権者による辞職の手続きが必要となります。
退職願に記載する内容と例文
退職願には、一般的に氏名、所属部署、退職希望日、退職する意思、提出日などを記載します。退職理由は「一身上の都合により」とする場合もありますが、自治体の指定様式に理由欄がある場合は、その指示に従って記入してください。
以下は、退職願の基本的な記載例です。
退職願
このたび、一身上の都合により、令和○年○月○日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。
令和○年○月○日
○○市役所 ○○部○○課
氏名 ○○ ○○
○○市長 様
上記は一般的な参考例であり、すべての自治体でそのまま使用できるわけではありません。宛名は任命権者など勤務先の指定に従い、退職希望日と提出日に誤りがないか確認しましょう。
退職願の提出先と受理後の手続き
退職願は直属の上司を通じて提出する場合もあれば、人事担当部署への提出を求められる場合もあります。提出先や提出方法は勤務先によって異なるため、指定された手順に従ってください。
提出後は、所属部署や人事担当部署で必要な確認が行われ、任命権者による辞職の手続きへ進みます。退職願を提出した日がそのまま正式な退職日になるわけではないため、希望日で手続きを進められるか確認する必要があります。
また、書類を提出した後は、提出日と提出先を控えておきましょう。希望する退職日が近づいても連絡がない場合は、人事担当部署に手続きの進捗を問い合わせると状況を把握しやすくなります。
地方公務員は退職願を提出すれば辞められる?

地方公務員が本人の希望によって退職する場合は、一般に「依願免職」という形で処理されます。これは、本人からの退職の申し出を受けて、任命権者が免職する人事上の処分です。
そのため、退職願を提出しただけで、当然に公務員としての身分が終了するわけではありません。本人の退職意思と希望する退職日を踏まえて、任命権者が正式な退職日を決定します。
退職願を提出した後も、退職が正式に認められたか、いつ付けで退職するのかを人事担当部署に確認しましょう。退職願の提出日と実際の退職日は、区別して考える必要があります。
任命権者による辞職の手続きと退職日の確定
地方公務員の任免に関する権限は、地方公務員法などに基づき任命権者が行使します。市役所の一般行政職、公立学校の教員、警察官などでは任命権者が異なる場合があるため、勤務先の制度に沿って辞職手続きを進めることになります。
退職願を提出した後は、人事担当部署などで必要な確認が行われ、任命権者による辞職の手続きへ進みます。退職日が正式に決まったら、辞令や人事担当部署からの通知によって、その日付を確認してください。
なお、辞令書を実際に受け取る日と、退職の効力が生じる日は必ずしも同じとは限りません。辞令交付式への出席が必要かどうかも含め、所属先の取扱いを確認することが大切です。
民間企業のように2週間で退職できるわけではない
期間の定めのない雇用契約で働く民間企業の従業員は、民法627条により、原則として解約を申し入れてから2週間が経過すると雇用契約が終了します。
一方、一般的な地方公務員は、民間企業の従業員とは異なる任用関係にあります。そのため、民法627条の「2週間ルール」をそのまま当てはめ、退職願を提出して2週間後に必ず辞められると判断することはできません。
ただし、地方公務員だからといって、年度末まで必ず働かなければならないわけでもありません。希望する退職日がある場合は、勤務先の規程を確認したうえで、必要な辞職手続きを進めることになります。
地方公務員が退職日までに確認すること

地方公務員は退職日が決まった後も、年次休暇の取得や退職手当の確認、共済組合に関する手続きなどを進める必要があります。退職後では確認しづらくなる事項もあるため、人事担当部署から案内される書類や手続きを事前に整理しておきましょう。
年次休暇と最終出勤日の調整
退職日までに年次休暇が残っている場合は、残日数を確認し、いつ取得するかを上司と調整します。年次休暇を退職前に取得できれば、正式な退職日よりも早く最終出勤日を迎えることができます。
ただし、地方公務員の年次休暇は勤務先の条例や規則などに基づいて取り扱われます。退職予定者が希望する日程ですべて取得できるとは限らないため、申請方法や勤務先での取扱いを確認してください。
また、引き継ぎが必要な業務については、最終出勤日までに対応する範囲を上司と決めておきましょう。後任が決まっていない場合も、担当業務の進捗や今後の予定を資料に残しておけば、退職後の確認や問い合わせを減らしやすくなります。
退職手当と給与・住民税の確認
地方公務員が退職する際は、退職手当(退職金)や最後の給与、期末・勤勉手当(ボーナス)の支給条件を確認しておきましょう。退職時期や勤続年数によって受け取れる金額が変わる場合があります。
退職手当は、一般に勤続期間や退職理由、退職時の給料月額などを基に計算されます。自己都合退職では、定年退職などと比べて支給率が低く設定されていることがあり、特に勤続年数が短い場合は注意が必要です。
例えば、滋賀県職員退職手当条例第3条では、自己都合などで退職した職員について、同条第1項で計算した退職手当の基本額に、勤続1年以上10年以下は60%、11年以上15年以下は80%、16年以上19年以下は90%を乗じると定めています。これは滋賀県職員退職手当条例が適用される職員の例であり、他の自治体では支給率や計算方法が異なる場合があります。
これは退職手当の基本額を調整する割合であり、最終的な支給額そのものを示すものではありません。
また、年度途中に退職すること自体を理由に、一律に退職手当が減額されるわけではありません。退職予定日と勤続年数を基に、人事担当部署へ支給見込額を確認しておきましょう。
期末・勤勉手当についても、退職日によって支給条件が変わります。例えば、滋賀県職員等の給与等に関する条例第20条・第21条では、6月1日と12月1日を基準日とし、基準日前1か月以内に退職した職員についても、一定の除外条件に該当しない限り支給対象としています。
つまり、基準日より前に退職したからといって、必ずボーナスを受け取れなくなるわけではありません。ただし、基準日前1か月以内という条件や支給額の計算方法、懲戒免職などに伴う支給制限は、適用される条例によって異なります。公立学校の教員には別の給与条例が適用される場合もあるため、所属先の規程を確認してください。
最後の給与や各種手当の支給日、退職月の給与計算についても確認が必要です。退職日によって給与の精算方法が変わる場合があります。
住民税については、退職すると給与からの特別徴収が継続できなくなることがあります。退職時期や再就職の状況によって、未徴収分を最後の給与などから一括徴収する場合と、退職後に納付書で支払う場合があるため、残額と納付方法を確認しておきましょう。
参考:滋賀県職員退職手当条例(第3条)/滋賀県職員等の給与等に関する条例(第20条・第21条)(2026年10月確認)
共済組合への届出と必要書類の受け取り
地方公務員が退職すると、原則として退職に伴う共済組合の資格喪失手続きが必要になります。健康保険や年金の加入状況が変わるため、退職後にどの制度へ加入するのかを確認しておきましょう。
退職時には、共済組合から交付されている資格確認書などの返納が必要になる場合があります。一方、従来の組合員証(健康保険証)は2025年12月2日以降使用できなくなっており、回収せず本人が廃棄する取扱いの共済組合もあります。返納する書類については、加入している共済組合の案内に従ってください。
また、退職後の健康保険や年金の切り替え、再就職先への提出に必要となる書類についても、人事担当部署へ確認しておくと手続きが進めやすくなります。退職時に受け取れる書類と、後日発行される書類を区別しておくことが大切です。
地方公務員が退職後に必要な手続き

地方公務員を退職した後は、健康保険や年金の切り替え、税金の精算などが必要になります。退職後すぐに民間企業へ転職する場合と、しばらく仕事をしない場合では必要な手続きが異なります。
特に健康保険や国民年金には申請期限があるため、退職前に受け取った案内や証明書類を確認し、期限内に手続きを進めましょう。
| 手続き | 期限・確認事項 |
|---|---|
| 健康保険 | 国民健康保険は原則14日以内、共済の任意継続は原則20日以内 |
| 国民年金 | 第1号被保険者への切り替えが必要な場合は原則14日以内 |
| 住民税 | 退職後の納付方法・残額を確認 |
| 所得税 | 年末調整の有無に応じて確定申告を検討 |
| 失業者の退職手当 | 支給対象と申請方法を所属先に確認 |
| 再就職時の届出 | 職種・役職・再就職先に応じて確認 |
健康保険と年金の切り替え
地方公務員が退職すると、原則として勤務先の共済組合の組合員資格を失います。退職後すぐに再就職しない場合は、健康保険の加入方法を選ぶ必要があります。
主な選択肢は、共済組合の任意継続、国民健康保険への加入、家族の健康保険の被扶養者になる方法です。任意継続には加入期間などの条件があり、原則として退職日から20日以内に申し出る必要があります。国民健康保険に加入する場合は、原則として資格喪失日から14日以内に市区町村で手続きを行います。
年金については、20歳以上60歳未満で退職後に厚生年金へ加入せず、配偶者の扶養による第3号被保険者にも該当しない場合、国民年金の第1号被保険者への切り替えが必要です。手続きは原則として退職日の翌日から14日以内に行います。
一方、退職後すぐに民間企業へ就職して厚生年金に加入する場合は、通常、新しい勤務先を通じて社会保険の加入手続きを進めます。退職から再就職までに空白期間がある場合は、その期間に必要な手続きを確認してください。
退職後の住民税・確定申告
退職後も、前年の所得に応じた住民税の納付が必要になることがあります。在職中に給与から天引きされていた住民税は、退職時期によって最後の給与などから一括徴収される場合と、退職後に納付書で支払う場合があります。
所得税については、年の途中で退職して再就職しなかった場合、年末調整を受けられず、源泉徴収された税金が納め過ぎになることがあります。この場合、確定申告によって還付を受けられる可能性があります。
同じ年に民間企業などへ再就職した場合は、通常、新しい勤務先へ前職の給与所得の源泉徴収票を提出し、年末調整を受けます。ただし、所得の種類や金額によっては確定申告が必要になるため、退職後に受け取る源泉徴収票は保管しておきましょう。
失業者の退職手当と再就職に関する届出
正規職員として働く地方公務員は、原則として雇用保険の適用対象外です。そのため、退職後は通常、雇用保険の基本手当を受け取ることができません。
ただし、退職手当の額が雇用保険の基本手当などに相当する額に満たない場合など、一定の条件を満たす退職者には「失業者の退職手当」が支給される制度があります。支給条件や必要書類、申請方法は、勤務していた自治体の退職手当制度を確認してください。
一方、会計年度任用職員は、勤務時間や任用期間、退職手当制度の適用状況などによって雇用保険の加入対象となる場合があります。退職後に失業給付を受けられるかどうかは、勤務先での加入状況や受給要件を確認してください。
また、退職後に民間企業や関係団体へ再就職する場合、退職前の職務や役職、再就職先との関係によっては、再就職に関する届出や退職後の働きかけ規制などが関係することがあります。
すべての退職者に同じ届出が必要なわけではないため、該当する可能性がある場合は、退職した自治体の人事担当部署に確認しましょう。
地方公務員が退職を申し出ても辞められない場合

地方公務員が退職を申し出ても、上司から引き止められたり、人事担当部署で手続きが進まなかったりすることがあります。
その場合は、退職を認めてもらえない理由を確認し、現在どの段階で手続きが止まっているのかを整理することが重要です。上司の説得が続いている場合と、正式な辞職手続きに問題が生じている場合では、取るべき対応が異なります。
上司が退職願を受け取ってくれない場合
直属の上司に退職願を提出しようとしても、「人手不足だから認められない」「後任が決まるまで待ってほしい」などと言われ、受け取ってもらえない場合があります。
まずは、退職する意思と希望日を明確に伝え、受け取れない理由を確認してください。単に人員配置の都合で延期を求められているのか、提出先や書類の形式に問題があるのかによって対応が変わります。
上司との話し合いが進まない場合は、人事担当部署に退職願の正式な提出先と提出方法を確認しましょう。退職を申し出た日付や上司からの回答を記録しておくと、これまでの経緯を説明しやすくなります。
人事担当部署でも手続きが進まない場合
人事担当部署に相談しても退職日が決まらない場合は、どの段階で手続きが止まっているのかを確認しましょう。
例えば、退職願が正式に提出された扱いになっているのか、追加書類が必要なのか、任命権者による手続きが進んでいるのかなどを確認します。単に処理に時間がかかっている場合と、希望する退職日について勤務先と意見が対立している場合では、対応が異なります。
また、懲戒処分に関する調査や刑事事件が関係している場合は、通常の人手不足による引き止めとは事情が異なります。こうした場合、調査や処分の手続きとの関係で、希望する退職日までに辞職が認められないことも考えられます。ただし、実際の取扱いは個別の事情や勤務先の規程などによって異なります。
懲戒処分の可能性や刑事事件を理由に退職手続きが進まない場合は、人事担当部署にその理由と根拠、今後の見通しを確認してください。判断が難しい場合は、公務員の服務・懲戒問題に詳しい弁護士への相談を検討しましょう。
一方、特別な事情がないにもかかわらず、問い合わせを重ねても具体的な説明が得られない場合は、退職願の写しやこれまでのやり取りを整理し、弁護士への相談を検討しましょう。必要な法的手続きや勤務先への対応方法について助言を受けられます。
退職まで出勤するのが難しい場合
退職の手続きが完了するまで、体調不良や職場でのハラスメントなどによって出勤を続けることが難しい場合もあります。
このような場合は、正式な退職日を待つ間に年次休暇や病気休暇、休職制度を利用できないか確認してください。心身の不調がある場合は医療機関を受診し、必要に応じて診断書の提出など、勤務先が定める手続きを進めることも考えられます。
注意したいのは、退職願を提出したからといって、自己判断で出勤をやめないことです。正式に退職するまでは公務員としての身分が続くため、連絡のない欠勤は服務上の問題になる可能性があります。
上司との直接のやり取りが難しい場合や、退職日の調整について交渉が必要な場合は、弁護士への相談も選択肢になります。ただし、弁護士へ依頼しただけで即日退職が成立したり、その日から自動的に出勤義務がなくなったりするわけではありません。
公務員が退職代行を利用する場合の対応範囲や依頼の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。

地方公務員の退職手続きに関するよくある質問
地方公務員の退職手続きでよくある質問に、順番に回答します。
退職願を提出した後に撤回できますか?
公務員の退職願は、免職辞令が交付される前であれば、原則として撤回できるとされています。ただし、撤回が信義則に反すると認められる特別な事情がある場合は、辞令交付前でも撤回できないことがあります。撤回を希望する場合は、速やかに任命権者側へ意思を伝えることが重要です。
辞令を直接受け取らなくても退職できますか?
辞令を本人が直接受け取ることと、辞職の効力が生じることは必ずしも同じではありません。辞令の交付方法は自治体の規程によって異なるため、出席や受け取りが難しい場合は、人事担当部署に別の方法が認められるか確認してください。
退職前に転職活動をしても問題ありませんか?
地方公務員が在職中に転職活動をすること自体が、一律に禁止されているわけではありません。ただし、勤務時間中の活動や職務上の情報の利用には注意が必要です。また、再就職先や在職中の役職によっては、退職管理に関する規制や届出が関係する場合があります。




