退職代行はどこまでやってくれる?できることとできないこと
退職代行の利用を検討している人は、代行業者ができることとできないことを知っておく必要があります。ここでは一般の代行業者と弁護士による代行依頼のサービスの違いを紹介します。
この記事で分かること
- 退職代行サービスを提供している業態
- 労働組合加盟の代行業者とは?一般企業との違い
- 弁護士・一般企業・労働組合加盟業者がどこまでやってくれるかを紹介
- どこまでやってくれるか不安な人は弁護士に依頼がおすすめ
退職代行の業態別やってくれることのまとめ
弁護士(法律事務所) | 一般の代行業者 | 労働組合加盟の代行業者 | |
退職代行の交渉 | 〇 | 〇※伝言のみ | 〇 |
有給休暇の消化交渉 | 〇 | × | 〇 |
各種請求の交渉 | 〇 | × | 〇 |
慰謝料請求 | 〇 | × | △ |
法律の伴う示談交渉 | 〇 | × | × |
会社の脅しや嫌がらせ に対するトラブル対応 | 〇 | × | × |
公務員や業務委託など 特殊な雇用形態/業界 | 〇 | × | × |
退職代行サービスは一般企業の業者と弁護士が提供する
退職の手続きや各種請求を代行する「退職代行」は、一般の会社(民間企業)と法律事務所(弁護士)が提供しているサービスとなります。退職手続きには有給休暇の消化や未払いの残業代請求などが発生するケースが多いほか、会社から損害賠償請求されたり、給与の減額、脅しなどの嫌がらせトラブルが多くあるため、元来労働問題に精通している弁護士の業務範囲でした。
しかし、2010年頃より民間企業が退職代行サービスの提供を開始し、テレビ雑誌メディアに注目されはじめ、現在は全国に数多くの退職代行を提供する民間企業が存在するようになりました。
「労働組合加盟」の退職代行業者は一般の代行業者と何が違う?
退職代行業者の中には、「労働組合加盟だから安心」と謳っている業者も増えてきました。労働組合加盟の代行業者と聞くと、役所の出先機関をイメージする人も多いですが、素性は一般企業と変わりません。
一般企業は退職代行を提供すること自体は可能ですが、報酬を得るために金銭交渉や仲介を他者に代わって行うことが法律によりできません。有給休暇の消化も金銭の伴う交渉となるため、非弁行為(弁護士法72条違反)とみなされます。
一方で一般企業でも労働組合を結成し、依頼者にも組合に一時的に加盟してもらうことで、企業は団体交渉権を得て、合法的に金銭交渉を可能としています。労働組合の活動実績がないなど、法的にはかなりグレーゾーンとなります。
「弁護士(法律事務所)」の退職代行はどこまでやってくれる?
退職代行はもともと弁護士の業務領域となるため、弁護士が請け負える代行範囲は多岐に及びます。通常の退職代行はもちろん、各種請求や退職日の調整交渉等も可能です。ブラック体質の企業では、退職手続きをしてくれない・直接面談を要求される・自宅に訪問される、損害賠償請求される、といった嫌がらせや脅しの可能性もあります。基本的にこれらのトラブル解決は弁護士のみが可能となります。
退職代行中に自宅に押し掛けられる場合も弁護士なら解決してくれる
退職代行の契約中に考えられるトラブルの1つに、「会社の上司が自宅に押し掛けてくる」ことが挙げられます。一般の代行業者の場合はどうすることもできないので「居留守をしてください」としか対応ができませんが、弁護士に退職代行を依頼することで、受任通知を会社に送るため、会社側は弁護士を通さず従業員に連絡や直接訪問ができなくなります。
「一般企業(民間業者)」の退職代行はどこまでやってくれる?
一般企業(民間業者)の退職代行は、法律を用いて会社に交渉することができません。有給休暇の消化はもちろん、残業代や退職金請求も法律違反となるほか、退職日の調整もグレーゾーンと言えます。
近年は退職代行の認知度も上がり、多くの会社が法的に知識を身に付けています。一般の退職代行業者に依頼することで、「有休消化はさせないよ」、「お宅が交渉したら非弁行為だよね」と会社から合理的な反論を受けることもあるかもしれません。事実上の退職代行の失敗に繋がりますので、極力避けるようにしましょう。
「労働組合加盟」の退職代行はどこまでやってくれる?
労働組合加盟の退職代行は、上述の通り性質は一般企業と変わりませんが、団体交渉権を用いることで法的に金銭交渉が可能となります。
ただし、あくまでも金銭交渉ができるというだけで、業者の中に弁護士資格を持つ人間がいない限り、会社に対し法的に優位に立ち回ることは困難です。不測の事態が発生した際に臨機応変な対応ができればいいのですが、実績がなければそれも難しいでしょう。
また、金銭交渉を可能としても、会社から損害賠償請求されたり、示談交渉が必要であったり、こちらが慰謝料を請求する事態になると、弁護士の領域となるため、労働組合加盟の業者であってもこれ以上打つ手はなくなります。
退職代行は基本料金でどこまでやってくれる?費用について紹介
退職代行業者がどこまでやってくれるかは、料金によっても変わります。退職代行業者のホームページを見ると、「基本料金〇〇円」とありますが、これには「退職代行の手続き」と「有給休暇の消化」が含まれているのが一般的です。
一方で民間業者によっては「土日対応料金」、「退職日の調整交渉料金」、「特急料金(即日対応料金)」などをオプション料金で設定しているケースもあります。
また、弁護士に依頼するときの注意点としては、法律を用いた交渉が必要となる場合は別途費用が発生する可能性があること、また、各種請求や示談交渉の代行などは、成果報酬となり、受け取った金額の2~3割の支払いが必要となります。
どこまでやってくれるか不安な従業員は弁護士に退職代行依頼がおすすめ
退職代行に依頼したいけど、どこまでやってくれるか不安に感じている人は、原則すべてを請け負うことができる弁護士を選択するのがおすすめです。
予期せぬトラブルの想定が重要。民間業者や労働組合加盟業者では限界がある
従業員が退職したい会社が法令遵守するホワイト企業で、職場の上司や人事が理解のある人であれば良いのですが、ワンマン社長やパワハラ上司、違法残業を平気で強いてくるような会社の場合、退職代行業者が仲介することで、相手を怒らせてしまう可能性があります。
一方で弁護士の有資格者が直接介入することで、無用なトラブルを避けてスムーズな退職手続きを完了させることができるケースが多くあります。
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