会社が退職の手続きをしてくれない時の辞める方法と相談先

会社に退職を申し出たにもかかわらず、退職届を受理してもらえなかったり、その後の手続きが進まなかったりすることがあります。また、すでに退職日を迎えているのに離職票が届かない、雇用保険などの退職処理がされていないといったケースもあります。
「会社が退職手続きをしてくれない」といっても、まだ退職できていない場合と、退職後に会社側の事務手続きが終わっていない場合では対処法が異なります。まず自分がどの状況にあるのかを確認し、それぞれに合った対応を取ることが重要です。
この記事では、会社が退職手続きをしてくれない場合の対処法を、退職前・退職後に分けて解説します。離職票や雇用保険、社会保険、転職への影響のほか、自分だけでは解決できない場合の相談先についても紹介します。
この記事で分かること
- 会社が退職手続きをしてくれない場合に確認すること
- 退職届を受理・処理してもらえない場合の対処法
- 退職後も離職票や雇用保険などの手続きが進まない場合の対処法
- 会社の退職処理が終わっていない場合の転職への影響
- ハローワーク・年金事務所・労働局・弁護士などの相談先
会社が退職手続きをしてくれないときは状況を確認する

会社が退職手続きをしてくれない場合は、まず「退職そのものが進んでいない」のか、「退職日は迎えたものの会社側の事務手続きが終わっていない」のかを確認してください。同じように見える問題でも、状況によって取るべき対応や相談先が異なります。
退職届を出したのに受理・処理してくれない
退職届を上司に提出したものの受け取ってもらえない、提出後も退職日の話が進まないといったケースです。また、上司に退職届を渡したものの、人事や総務に伝わっているか分からない場合もあります。
この場合は、退職後の事務手続きではなく、会社に退職の意思が伝わっているかどうかを確認する必要があります。上司だけで話が止まっている場合は、人事や総務など退職手続きを担当する部署にも確認するとよいでしょう。
退職日を過ぎたのに会社側の退職処理が終わっていない
すでに会社へ退職の意思を伝え、退職日も過ぎているにもかかわらず、雇用保険や社会保険などの資格喪失手続きが進んでいないケースもあります。
この場合は「会社が退職を認めてくれない」という問題とは分けて考える必要があります。会社側でどの手続きが終わっていないのかを確認し、必要に応じてハローワークや年金事務所などに相談します。
退職処理はされたが離職票などの書類が届かない
会社側で退職処理が行われていても、離職票や源泉徴収票、退職証明書など必要な書類が手元に届いていない場合があります。
書類によって発行の条件や手続き、問い合わせ先は異なります。単に郵送を待っている段階なのか、会社側の手続き自体が止まっているのかを確認したうえで対応することが大切です。
会社が退職手続きをしてくれないのは違法?

会社が退職手続きをしてくれないからといって、すべてのケースが直ちに違法になるわけではありません。単に社内の事務処理が遅れている場合と、退職の意思を伝えているにもかかわらず会社が退職を認めず、働き続けるよう求めている場合では状況が異なります。
また、雇用期間の定めがあるかどうかによっても退職のルールは変わります。まずは自分の雇用契約を確認したうえで、会社がどの段階の手続きを止めているのかを整理しましょう。
退職届を受理しないことと退職できないことは別
会社や上司が退職届を受け取らないからといって、それだけで労働者が退職できなくなるとは限りません。特に無期雇用では、退職について会社の承諾を得なければならないわけではなく、退職の意思表示が会社に到達したかどうかが重要になります。
そのため、上司が退職届を受け取らない、退職の話を放置するといった場合は、退職の意思を伝えた記録を残すことが大切です。手渡しが難しければ、郵送など会社に到達したことを確認しやすい方法も検討します。
無期雇用では会社の承諾がなければ退職できないわけではない
期間の定めのない雇用契約では、民法627条1項により、労働者から解約を申し入れた場合、原則として2週間を経過することで雇用契約が終了すると定められています。
会社から「後任が決まるまで辞められない」「退職を認めない」などと言われた場合でも、会社が承諾しなければいつまでも退職できないわけではありません。ただし、実際の退職日を決める際は、就業規則や有給休暇の取得、会社との合意状況なども確認する必要があります。
有期雇用は無期雇用と退職のルールが異なる
契約社員など契約期間が決まっている場合は、無期雇用と同じように考えることはできません。民法628条では、やむを得ない事由がある場合には契約期間の途中でも契約を解除できるとされています。
また、有期労働契約でも契約期間や勤務期間などによって適用されるルールが異なる場合があります。契約途中で会社と退職について揉めている場合は、「退職手続きをしてくれないからそのまま出勤しない」と自己判断せず、雇用契約書を確認したうえで弁護士などに相談するとよいでしょう。
退職届を出したのに会社が手続きしてくれない場合の対処法

退職届を提出しても会社が手続きを進めてくれない場合は、口頭で何度も催促するだけでなく、退職の意思を会社へ明確に伝えた記録を残すことが重要です。上司だけで手続きが止まっている可能性もあるため、人事や総務への確認も含めて対応しましょう。
退職願ではなく退職届を提出したか確認する
まず確認したいのが、会社へ提出した書類が「退職願」なのか「退職届」なのかです。一般的に退職願は会社に退職を願い出るための書類で、退職届は退職する意思を会社へ伝えるための書類として扱われます。
退職の相談や退職願の提出だけで話が止まっている場合は、自分の退職意思が会社に明確に伝わっているか確認してください。
上司だけでなく人事・総務にも退職の状況を確認する
直属の上司へ退職届を提出したにもかかわらず、その後まったく連絡がない場合は、人事や総務など退職手続きを担当する部署へ状況を確認します。
「退職届を提出した日」「誰に提出したのか」「希望する退職日」などを整理して伝えるとよいでしょう。上司が退職の話を止めている場合でも、担当部署へ確認することで状況を把握できる可能性があります。
退職の意思が会社に到達した証拠を残す
会社が退職届を受け取ったこと自体を否定する可能性がある場合は、いつ退職の意思を伝えたのか分かる記録を残しておくことが大切です。
退職届の写しのほか、会社とのメールやチャット、郵送した際の記録などは保管しておきましょう。後から退職日や退職意思を伝えた時期について争いになった場合にも、これまでの経緯を確認しやすくなります。
受け取ってもらえない場合は内容証明郵便などで送る
上司や会社が退職届の受け取りを拒否する場合は、郵送によって退職の意思を伝える方法もあります。特に会社へ退職の意思を伝えた記録を残したい場合は、内容証明郵便などの利用を検討できます。
ただし、雇用期間の定めがある場合や、退職日について会社と争いになっている場合などは、退職届を郵送すればすべて解決するとは限りません。自分だけで対応するのが難しい場合は、早めに専門家へ相談してください。
退職日を過ぎても会社が退職処理してくれない場合の対処法

退職日を迎えて出勤していないにもかかわらず、会社側の退職処理が終わっていない場合は、どの手続きが止まっているのかを確認してください。退職後は雇用保険や社会保険の資格喪失、離職票など複数の手続きがあるため、それぞれ問い合わせ先も異なります。
雇用保険の資格喪失手続きがされているか確認する
退職すると、会社は雇用保険の被保険者資格を喪失するための手続きを行います。退職したにもかかわらず雇用保険上の手続きが進んでいない場合は、まず会社の人事・総務などに状況を確認しましょう。
会社へ確認しても手続きが進まない場合や、すでに退職しているのに雇用保険上の扱いがどうなっているのか分からない場合は、住所地を管轄するハローワークへ相談できます。
離職票が届かない場合はハローワークへ相談する
離職票が必要なのに退職後も届かない場合は、会社へ発行状況を確認します。会社が必要な手続きをしていない、あるいは会社へ連絡しても対応してもらえない場合は、ハローワークへ相談してください。
離職票が届かないまま放置すると、雇用保険の基本手当(いわゆる失業給付)の手続きに影響する可能性があります。失業給付を申請する予定がある場合は、書類が届くまで何もせず待ち続けるのではなく、早めに状況を確認することが大切です。
健康保険・厚生年金の資格喪失手続きを確認する
会社を退職すると、勤務先で加入していた健康保険・厚生年金についても資格喪失の手続きが必要になります。会社側の処理が進んでいないと、退職後の健康保険や年金の切り替え手続きで確認が必要になることがあります。
会社へ問い合わせても解決しない場合は、年金事務所などに現在の資格状況や必要な手続きについて相談するとよいでしょう。
源泉徴収票や退職証明書が届かない場合は会社へ請求する
退職後には、源泉徴収票など今後の手続きで必要になる書類もあります。源泉徴収票は転職先での年末調整などに必要となる場合があるため、届かない場合は会社へ発行状況を確認してください。
また、退職したことを証明する書類が必要な場合は、会社へ退職証明書を請求できます。退職後の書類が届かない場合も、すべてを「退職手続きがされていない」と考えるのではなく、どの書類・手続きが止まっているのかを一つずつ確認することが重要です。
会社が退職手続きをしてくれないと転職に影響する?

会社側の退職処理が終わっていないからといって、それだけで新しい会社へ転職できなくなるわけではありません。ただし、雇用保険や社会保険の資格喪失手続きが済んでいなかったり、転職先で必要となる書類が届いていなかったりすると、入社後の手続きで確認が必要になることがあります。
退職処理が終わっていないだけで転職できないとは限らない
前の会社が退職後の事務処理を終えていないことと、新しい会社で働けるかどうかは分けて考える必要があります。「前職の退職手続きが終わるまで転職できない」と決めつける必要はありません。
ただし、前職との間で退職日そのものについて争いがある場合は別です。自分では退職したつもりでも、会社との間で退職日について認識が食い違っている場合は、転職を進める前に退職の経緯を整理しておく必要があります。
雇用保険や社会保険の手続きで確認が必要になる場合がある
前の会社が雇用保険や社会保険の資格喪失手続きをしていない場合、新しい会社で加入手続きをするときに前職の資格状況について確認が必要になることがあります。
すでに退職しているのに資格喪失の処理がされていないことが分かった場合は、前の会社へ手続きを求めます。それでも対応してもらえない場合は、雇用保険についてはハローワーク、健康保険・厚生年金については年金事務所などに相談しましょう。
源泉徴収票など転職先から求められる書類を確認する
転職先から前職の源泉徴収票などの提出を求められることもあります。会社が退職後の書類を送ってくれない場合は、何の書類が不足しているのかを確認し、前の会社へ発行を求めてください。
特に転職先への入社日が迫っている場合は、前職の対応を待ち続けるのではなく、転職先にも書類がまだ届いていないことを伝えたうえで、提出時期について確認しておくとよいでしょう。
会社が退職手続きをしてくれないときの相談先

会社に連絡しても退職手続きが進まない場合は、問題の内容に合った窓口へ相談しましょう。離職票や雇用保険ならハローワーク、健康保険・厚生年金なら年金事務所など、手続きによって相談先が異なります。また、会社が退職そのものを認めない場合や、金銭トラブルなどが発生している場合は、労働局や弁護士への相談も検討してください。
ハローワーク|離職票・雇用保険
退職したのに離職票が届かない、雇用保険の資格喪失手続きが進んでいないといった場合は、ハローワークが主な相談先となります。
会社へ問い合わせても対応してもらえない場合は、退職日や会社とのやり取りが分かる資料を用意したうえで相談するとよいでしょう。失業給付の申請を予定している場合は、離職票が届かないからと長期間そのままにせず、早めに相談してください。
年金事務所|健康保険・厚生年金
退職したにもかかわらず、勤務先の健康保険・厚生年金の資格喪失手続きがされていない場合は、年金事務所へ相談できます。
転職や国民健康保険への切り替えなどで資格状況の確認が必要になった場合は、会社側の処理を待つだけでなく、現在どのような状態になっているのか確認してみましょう。
労働局・労働基準監督署|退職や労働条件のトラブル
会社が退職を認めない、退職に伴って賃金などの労働条件に関するトラブルが発生している場合は、労働局や労働基準監督署などへ相談する方法があります。
ただし、相談内容によって適切な窓口は異なります。特に会社との個別の交渉や、退職日をめぐる法的な争いを解決してもらいたい場合は、弁護士への相談を検討した方がよいケースもあります。
弁護士|会社との交渉や法的トラブル
退職の意思を伝えているのに会社が対応しない、退職日について会社と意見が対立している、未払い賃金や損害賠償などの問題も発生している場合は、弁護士に相談できます。
弁護士であれば、法律上の問題を確認したうえで本人に代わって会社と交渉することも可能です。会社と直接やり取りを続けることが難しい場合や、自力での解決が見込めない場合は相談先の一つとなります。
退職手続きをしてくれない会社との交渉は弁護士の退職代行に相談する

会社に退職の意思を伝えても対応してもらえず、自分での解決が難しい場合は、弁護士が提供する退職代行への相談も検討できます。特に退職日や有給休暇について会社との交渉が必要な場合や、金銭トラブルまで発生している場合は、弁護士へ相談することで退職に関する交渉を任せることができます。
退職の意思を伝えても会社が対応しない場合
退職届を提出しても会社が受け取らない、上司や人事へ連絡しても退職の話を進めてもらえない場合は、本人だけで会社とのやり取りを続けることが難しくなることがあります。
弁護士の退職代行に依頼すれば、弁護士から会社へ退職の意思を伝え、必要に応じて退職に関する交渉を任せることができます。会社と直接連絡を取りたくない場合にも利用を検討できます。

退職日や有給休暇について交渉が必要な場合
会社が希望する退職日を認めない場合や、退職までの有給休暇の取得をめぐって話し合いが必要になることもあります。
退職代行は運営元によって対応できる範囲が異なります。会社との交渉が必要になることが予想される場合は、退職日の調整や有給休暇などについて交渉できる弁護士へ相談するとよいでしょう。

損害賠償や未払い賃金などのトラブルがある場合
退職を申し出たことで会社から損害賠償を請求すると言われたり、給与や残業代が支払われていなかったりする場合は、単に退職の意思を会社へ伝えるだけでは解決できないことがあります。
会社から損害賠償を主張されたからといって、直ちに支払う義務が生じるわけではありません。退職と同時に金銭や法的なトラブルが発生している場合は、自分だけで判断せず、弁護士に事情を説明して対応を相談してください。

会社が退職手続きをしてくれない場合によくある質問
会社が退職手続きをしてくれない場合は、退職届の扱いや退職後の在籍状況、離職票、転職への影響なども気になるところです。最後に、退職手続きが進まない場合によくある疑問を解説します。
退職届を受理されていなくても退職できますか?
無期雇用の場合、会社が退職届を受理しないことだけを理由に退職できなくなるわけではありません。重要なのは、退職の意思が会社に到達しているかどうかです。
ただし、有期雇用では退職のルールが異なります。会社と退職日について争いがある場合は、雇用契約の内容を確認したうえで弁護士などに相談してください。
退職届を出したのに放置されたらどうすればいいですか?
まずは上司や人事・総務へ連絡し、退職届が届いているか、手続きがどこまで進んでいるか確認してください。
会社が退職届を受け取ったことを否定する可能性がある場合は、メールや郵送など記録が残る方法で改めて退職の意思を伝えることも検討します。
退職日を過ぎても在籍扱いの場合はどうすればいいですか?
退職日を過ぎても雇用保険や社会保険などで在籍中の扱いになっている場合は、まず会社へ資格喪失手続きの状況を確認してください。
会社が対応しない場合は、雇用保険についてはハローワーク、健康保険・厚生年金については年金事務所など、問題となっている手続きに応じた窓口へ相談します。
離職票が届かない場合はどうすればいいですか?
離職票が必要なのに届かない場合は、まず会社へ発行状況を確認します。会社が必要な手続きをしていない場合や、問い合わせても対応してもらえない場合は、ハローワークへ相談してください。
失業給付の手続きを予定している場合は、離職票が届くまで長期間待ち続けるのではなく、早めにハローワークへ事情を伝えるとよいでしょう。
会社が退職手続きをしないまま転職できますか?
前の会社で退職後の事務処理が終わっていないという理由だけで、必ず転職できなくなるわけではありません。ただし、雇用保険や社会保険の資格喪失手続きが済んでいない場合は、転職先での加入手続きの際に確認が必要になることがあります。
また、退職日そのものについて前の会社と争いがある場合は状況が異なります。転職先への入社が決まっている場合は、前職の退職状況を確認し、必要な手続きを早めに進めてください。




